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  • 2012年秋号

マンション居住者の〝高齢化〟を考える

「自助・互助・共助」による複合的な取り組みを

今後多くのマンションで高齢化が進む中、高齢居住者の生活支援は高齢者やその家族のみならず、マンション全体の課題として対処すべき重要なテーマの一つとなります。マンション居住者としては、管理組合や自治会をどう機能させるかに加えて、管理会社や地域とどう関わりを持ちながら、高齢者の生活を支え維持していくかを考えなければなりません。一つのマンション内で完結できるほど容易な問題ではないだけに、地域の中でネットワークを構築し、地域とつながりを持ちながら取り組んでいくことが望ましいといえます〈図表5〉。
分譲マンションにおける高齢者の生活支援ネットワークの一例 居住者(管理組合・自治会)としては、主に以下のような活動が重要になると考えられます。管理会社は、こうした住民主導の活動にどのような支援やアドバイスが可能かといった検討があり得るでしょう。

①居住者情報の把握と管理

先進事例をみてもわかるとおり、居住者情報の把握と適切な管理が高齢者支援や災害時対応でも威力を発揮します。東日本大震災を契機に、居住者名簿(台帳)の必要性を痛感したマンションも多いと思いますが、整備に取り組んだのはよいものの、密封封筒で提出してもらった書類をそのまま金庫などで保管し、誰一人として記載データの内容を確認していないといったケースも多いようです。これでは、どの住戸にどのような要支援・要援護の高齢者や障害者がいるのか正確に把握できず、大災害などの緊急時に迅速に対処できる保証がありません。名簿の整備はもとより、居住者の情報(状況)を誰がどのように把握しておくのかといった管理・運用面についてもきちんと検討し、一定のルールを設けておくことが重要です。

②緊急時対策のマニュアル化

居住者主導で先進的な取り組みを行っているマンションでは、主に災害時などの行動・対策についてまとめた危機管理マニュアルを策定しているケースが多く見られます。高齢者の場合、災害や事故・急病などの際に支援や救護を要する人の割合が高くなるため、居住者名簿とあわせて、こうした緊急時対策のマニュアル化と居住者による情報共有を日頃から行っておくことが不可欠です。

③PDCAサイクルの実行

企業などが事業活動における生産管理や品質管理、リスクマネジメント評価などを行う際に導入している「PDCAサイクル」(Plan(計画)→Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善))の実行は、マンションにおける高齢者支援でも重要になります。居住者名簿や危機管理マニュアルなどを作成するだけではなく、それらの効果や不備を把握するために実際に用いて検証することが必要です。防災訓練や防災講習会、高齢者支援に関連する勉強会や研修などを繰り返し行うなどして、継続的に改善していくという取り組みが求められます。

④公助頼みにならない対応

高齢者支援に関する考え方として、「自助」「互助」「共助」「公助」の4つをどのようなバランスで組み合わせるかということがあります。まずは、できる限り自分で問題解決する自助が基本となるでしょうが、今後は互助・共助の仕組みづくりが一層重要になると思われます。公助(行政)一辺倒ではない高齢者支援のあり方をマンションコミュニティの中でどう構築していくかの手腕が問われます。