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  • 2026.07.01掲載

マンションの“終活” ―今から備えること

横浜市立大学名誉教授/東京都市大学特任教授 齊藤広子

 情報の整理は、過去の整理にもなりますが、未来を創る手段にもなります。問題や課題の発見にもなります。そして、マンションもいつかは「最後」を迎えることになります。その準備になります。

表-2 マンションで必要な建物の維持管理情報(住宅履歴情報)
■検討にあたって活用する情報一覧(例)

マンションの長期マネジメント計画策定の手引き( https://www.mankan.or.jp/cms-sys/wp-content/uploads/2020/09/C-Management_tebiki-all.pdf)より

1)の①②の建築確認、竣工検査等に関しては、以下を含むことになります。
 1.付近見取図、2.配置図、3.仕様書(仕上げ表を含む)、4.各階平面図、5.二面以上の立面図、6.断面図または矩計図(かなばかりず)、7.基礎伏図、8.各階床伏図、9.小屋伏図、10.構造詳細図、11.構造計算書(地盤情報を含む)以上、マンション管理適正化法で新築時に管理組合に分譲会社の引渡し義務

●マンションの最後に向けての4つの選択

 マンションの最後に向けてのプロセスとして、大きく分けて4つの選択があります。

[マンションからみた4つの選択]
①1つは、修繕をしっかりとし続ける、できるだけ最後を延ばすという選択です。耐震性が低い場合は耐震補強をします。修繕をして長寿命化させ、そののち、以下の②③④を選択することがあります。
②2つめは、建替えることです。建物を解体し、新たなマンションを建てることになります。
③3つめは、1棟リノベーションです。住戸部分も含めて、専有部分、共用部分の1棟まるまるリノベーションすることになります。

建物全体を大規模に改修し、住み続けられる状態に再生する方法

④4つめは、敷地や建物を売って、管理組合を解散することです。マンションはなくなるので、みんな転居することになります。
 さらに、あなた自身の選択として、②「建替え」の場合に、建替えに参加するかしないのか、③の「1棟リノベーション」の場合に、1棟リノベーションに参加するかしないのかの選択があります。
 どの選択肢を取る場合でも、早い段階から情報共有と合意形成を進めておくことが重要です。

表-3 マンションの終活に向けて

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●さいごに

 マンションの最後を、いつ、どのように迎えるのかは、マンションの区分所有者・居住者に大きな影響がありますので、そこまでのプロセスを共有していくとよいでしょう。そのためには、いままでどのように修繕をしてきたのかという情報に合わせて、現状を踏まえ、終活として、終末期までのプロセスプランニングを共有していきましょう。情報の整理、そしてその分析(データサイエンス)が大事です。
 そこから先が見える、予定が立てられるということは安心な暮らしにつながります。私たちがマンションの暮らしで望んでいるのは、自分のペースで人生や暮らしの計画を作り、自分の意思をもって行動を決定できる環境です。そのために、マンションの未来がいつでも共有できる体制が必要ではないでしょうか。終活とは、終わりを待つことではなく、未来を素敵にするための準備です。




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齊藤 広子 Profile
齊藤 広子
横浜市立大学名誉教授。東京都市大学特任教授。学術博士、工学博士、不動産学博士。

専門は住まい学、住環境管理学、 居住のための不動産学。研究テーマは、マンションの管理、住宅地の住環境マネジメント。日本マンション学会研究奨励賞、都市住宅学会論文賞、日本不動産学会業績賞、日本不動産学会著作賞、不動産協会優秀著作奨励賞、日本建築学会賞、都市景観大賞優秀賞、グッドデザイン賞等受賞。
著書に『新・マンション管理の実務と法律』(共著・日本加除出版)、『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価値が上がる住宅地』(学芸出版社)、『初めて学ぶ不動産学』(市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出版社)など多数。