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  • 2026.07.01掲載

マンションの“終活” ―今から備えること

横浜市立大学名誉教授/東京都市大学特任教授 齊藤広子

 65歳で定年退職。そろそろ、人生の最期に備えて、終活を考えないと。人の終活と同じように、マンションにも将来への備えが必要だな。マンションだって、いつかは最後がやってくるんだから。多くの人が住んでいるから、突然「最後」になっては困るし、マンションの将来を考えて、終活しないといけないのかな。でも、終活って何かさみしい気がするな……。それにしても何をすればいいんだろう。


●終活って何?

 終活って「さみしい気がするな」ということですが、終活は「人生の終わりに向けて、身の回り・財産などを整理し、医療・葬儀の準備体制を整え、家族への負担を減らし、自分らしい最期を迎えるための準備をする活動」です。見方を変えると、人生の最期を見据えながら、不安を安心に変え、「これからの人生をどう生きる」か、あるいは「今をよりよく生きる」ための前向きな活動ともいえます。
 終活を通じて、「サクセスフル・エイジング」や「プロダクティブ・エイジング」、つまり、歳を重ねていくなかで心身の機能低下を最小限に抑え、健康で充実した老後を送ることや、高齢になっても社会とのつながりを大事にし、そのなかで役割をもち、活動をすることなどがあらためて重要視されています。
 歳を取ることを嘆くのではなく、しっかりと準備をして、快適に暮らしていきましょうということです。マンションも同じです。急に築年数が経過し、急に「最後」になるわけではありません。建物の老いと、人の老いの「2つの老い」は仕方がないとあきらめるのではなく、それに備えて、快適に乗り切れる体制を創っていきませんか。

●マンションの終活

 マンションの「最後」に向けて、どんなことを備えればよいでしょうか。法務省が公表している、人間向けのエンディングノート(万一のことがあったときのために、希望や大切な情報を書き残すノート)の項目から学んでみましょう。
 エンディングノートでは、自分自身のことを記入していきます。これは、自分自身にとっての確認の意味もありますが、まわりの人に伝えるという意味もあります。マンションでも、こうした基本的な情報を整理することで、マンションの現状を常に正しく把握し、関係者間で情報を共有することができます。
 次に、人間ならば、もしもの時に備えて、家族構成、兄弟までを含めた人間関係図の作成になります。マンションであれば、管理の関係者、管理会社をはじめ、日常的に管理をサポートしている人々や組織、大規模修繕などのメンテナンスを支えてくれている人・組織、地域の町内会や自治会との連携の連絡先、行政担当者、そして管理組合メンバーの確認、居住者の確認などになります。
 また、資産の状態や必要なデータの整理等があります。将来のことを考えるためには、過去の情報、マンションでは収支や修繕の履歴も大変重要です。特に、マンションでは築年数が経つに従って、共用部分だけでなく、専有部分の情報も必要になってきます。専有部分における給排水管が更新されているかなどは、マンション全体の修繕計画にも影響を与えます。こうした情報も把握するようにしましょう。
 さらに、重要な情報の整理と、適正な管理のために使える情報にしておくことです。単に必要な情報を集めてストックしておくのではなく、情報の更新が必要です。ぜひ、総会の前には今年1年間の情報を更新し、次の役員に引き継げるようにしましょう。

表-1 エンディングノート (法務省HPより抜粋・編集)

[第1 わたし自身のことを記載しましょう]
●名  前(フリガナ)
●生年月日    年   月   日
●血 液 型    型
●住  所 〒
●本  籍
●電話番号
(自宅)
(携帯)
●メールアドレス
●宗  教
●菩提寺など
●そ の 他
もしもの時の連絡先(家族構成)
兄弟までを含めた人間関係図


[第2 その他の資産について記載しておきましょう]
●預 貯 金
●金融機関名     支店/口座番号
●貸 金 庫

[第3 その他、デジタルデータ等を整理しましょう]

出典:法務省HP https://www.moj.go.jp/content/001395858.pdf