- 連載
- マンガで事例研究
- 2026.01.05掲載
③特別決議の中でも、「共用部分の変更」の一部と、建て替え決議などの要件が法改正で緩和されます。具体的には、「耐震性を強化したい」「エレベーターがないので、設置したい」などの需要が高まっていることを踏まえ、多数決要件が3/4以上から2/3以上に緩和されました。建て替えも、「客観的事由」にあえば、4/5から3/4に緩和されました。 ポイント3建物の耐震性が不足している、火災に対する安全性が不足している、外壁等の剥落により周辺に危害を生ずるおそれがある、給排水管等の腐食など、著しく衛生上有害となるおそれがあるときに必要な改修や、バリアフリー化による共用部分の変更として、既存階段室踊り場に着床するエレベーターを設置するなどは、法改正で3/4以上から2/3以上の賛成でできるようになったため、法律にあわせて、規約でも2/3でできるようにしましょう。建て替えも、次の多数決要件の緩和対象となる「客観的事由※」のときは、3/4以上となることを明記しておきましょう。
・耐震性の不足
・火災に対する安全性の不足
・外壁等の剝落により周辺に危害を生ずるおそれ
・給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
・バリアフリー基準への不適合
④改正区分所有法において、総会招集時の通知事項として、全ての議案について「議案の要領」を示すことになりました。そして、法改正で、招集通知の発送から総会開催日までの期間を1週間よりも短縮することができなくなりました。
ポイント4総会招集時の通知事項に、1.会議の日時、2.会議の場所(WEB会議システム利用の場合はその方法)、3.目的、にあわせて、4.議案の要領を示しましょう。そして、総会の招集通知は、今まで、緊急に総会を招集する場合には「5日」前ということが多かったのですが、「1週間」前にすることが必要です。このように、どんなときも「1週間」前になります。
以上の部分は、法律との矛盾が生じないように、現在の規約を確認し、必要に応じて改正が必要です。
他の項目 - 共用部分の瑕疵に関する損害賠償請求権等の代理行使等 -
区分所有法改正を機に、規約を見直すことをおすすめします。法改正で新しく明記された項目(専有部分の保存行為実施の請求、共用部分の管理に伴って必要となる専有部分の保存行為等、修繕積立金の使途、共用部分の損害賠償請求権などの代理行使、区分所有者の責務)、創設された項目(総会の決議等で所在等不明区分所有者を除外するための手続き、国内管理人制度、財産管理制度)を確認し、ぜひ、標準管理規約を参考にし、見直していただきたいと思います。
特に、次の項目は、共用部分に瑕疵があった場合に、円滑に修繕ができるように、規約に規定するようにしましょう。
今までは、分譲事業者が、共用部分に瑕疵のあるマンションを販売した場合に、一部でも区分所有権の転売のあったマンションでは、管理者が一括して損害賠償請求を行えないといった課題がありました。そこで、改正区分所有法において、理事長が、区分所有者および区分所有者であった者の損害賠償請求権等の代理行使をできることとされました。それを規約でも確認的に規定するとともに、理事長による代理行使をより確実に実施できるようにするための措置として、理事長による一元的な行使と、旧区分所有者が有する賠償金を確実に修繕費用に充当するため、規約による実務的な対応が必要となります。そのための規定を規約に入れておくことが必要です。
以下の点を明記しておきましょう。
➊共用部分等について生じた損害賠償金等の請求および受領について、理事長が区分所有者および旧区分所有者を代理すること
➋共用部分等の損害賠償請求等については、理事長による一元的な行使でのみ行うことができること
➌区分所有者は、改正法第26条第2項の「別段の意思表示」を行わないこと
➍損害賠償金等は原則として修繕に充てること
●さいごに
規約はマンション内の憲法ともいわれています。マンションでお互いが気持ちよく暮らすため、また、資産価値を適正に維持するためにも、マンション内のルールを決めておくことが必要になります。規約は、区分所有者相互の約束事、契約の内容を示したものになります。よって、もし、規約に違反してペットを飼うなど、あなた自身の行動が規約にあっていない場合には、ペットがまわりに迷惑をかけるという実害があるかないかではなく、規約にあっているかどうかが裁判では問われることになります。規約はそれほど大事なものであることをぜひご理解ください。
※なお、2026.3.31までに規約の改正を行うために、総会を開く招集手続きを行う場合には、現行規約の規定に従い、総会を招集し、議事を行い、「改正は2026年4月1日から効力を発することとする」としてください。 2026.4.1以降に総会を開く招集手続きを行う場合には、現行規約の規定に従い、総会を招集し、決議は、改正区分所有法の規定に従って進めてください。

Profile齊藤 広子
横浜市立大学国際教養学部不動産マネジメント論担当教授。工学博士、学術博士、不動産学博士。
著書に『新・マンション管理の実務と法律』(共著・日本加除出版)、『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価値が上がる住宅地』(学芸出版社)、『初めて学ぶ不動産学』(市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出版社)など多数。













