- 連載
- マンガで事例研究
- 2025.10.01掲載
「海外に住んでいる区分所有者のみなさん、国内管理人を選定し、届け出てください。今後はその方に連絡をします」って言われたけれど、なんでそんな人が必要なのかな? 半年間ほど、仕事で日本を不在にするだけでも必要なのかな? そもそも、海外にいても、オンラインでつながっているし、総会にもオンラインで出席しているし、そんな場合でも必ず、国内管理人が必要なんだろうか・・・。世界はせまい 世界は同じ 世界はまるい ただひとつ♪♬
●はじめに~区分所有者の海外居住~
マンションで海外に住む区分所有者がどれだけいるのか、全体的な統計は把握できていません。しかし、大きく2つの波で増えています。1つは、そもそもマンションに住んでいた区分所有者が仕事などで海外に居住する場合です。もう1つは、海外に住む投資家がマンションを購入した場合です。後者の場合には、マンションを見たこともない所有者も存在します。特に、近年、マンションの立地の良さなどから将来の不動産価格の値上がりを期待して、投資目的で購入し、賃貸に出す、セカンドハウスにする、空き家にするなどの事例が増えてきています。あるマンションでは 全約900戸のうち、3割が海外居住の所有者が保有し、空き家となっています。マンションによる実態が異なるため、一概には言えませんが、全体的に所有者のグローバル化が進んでいると言えます。
●所有者の海外居住による問題
「国内管理人を置いてくださいね」と言われるのは、所有者が海外に住む場合です。一口に、海外に住む所有者といっても、もともと住んでいた日本人の区分所有者が海外に居住する場合と、海外に住む外国人投資家の場合では、共通点もありますが、違いもあります。どんな点が似ており、違うのでしょうか(表参照)。
管理組合運営面では、どちらのケースも所有者への連絡がつきにくいことがあげられます。マンションに住んでいれば、集合ポストやドアポストに手紙などの連絡物を投函すればよいのですが、海外に住んでいるとそれはできません。郵便などで送付することになります。時間がかかるし、費用もかかりますし、簡単に催促もできません。まして、郵便が届いているのかどうかも簡単には確認できません。
総会の出席も海外にいると、出席しにくくなります。時差もあり、オンラインでも参加が難しいことがあります。委任状や議決権行使書の提出も滞りがちになり、まして、日本語を解さない所有者もいます。管理費などの徴収も難しいのが現実です。日本に住所がないと、銀行の口座が開設できず、自動引き落としができません。滞納の催促も困難です。理事にはなかなかなってもらえないし、マンションに住んでいないので修繕の必要性も理解してくれず、修繕積立金の値上げもなかなか納得してくれません。また人が住んでいないと設備の点検に立ち合ってもらえない等があります。海外に住むという意味では共通点が多いのですが、管理への理解や関心という意味では、元居住の日本人区分所有者と海外に住む投資家では大きく違ってくるでしょう。
表:多様な海外に住む区分所有者比較
