マンション・バリューアップ・アワード

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高齢者対応部門(居住者の高齢化に伴う先進事例)

佳作
高齢者を狙う詐欺や
認知症の一人暮らしを守る
民間企業と行政の関係構築

グローバルコミュニティ株式会社
乾典央様


※イメージ写真

背景

  • 築30年、管理員常勤なし、オートロック設備なしのマンションにお住まいのF氏は、70歳代で、一人暮らしをしている身寄りのない女性です。
  • 平成25年10月21日(月)10:00頃、F氏よりマンション管理会社の担当I 宛てに「今日のガス工事、来るっていったのにまだ来ないのですか?」と電話連絡がありました。当社では手配していない旨を報告のうえ、内容の聞き合わせを行うと、「先週、作業着を着た人が来て部屋を見ていった。その際にガス漏れといわれ工事が必要で、お金は約120万円くらいですと言われた」とのこと。
  • 実は遡ること半年くらい前にも、担当者はF氏から「この間、電話の配線の工事が必要との事で、100万円程度支払ったわ」との話を聞いていました。その際に「そんな業者は何度も来るかもしれない。次もまた業者がくれば『マンションのことは管理会社に確認する』と言ってピンポンが鳴っても鍵は開けずに、一旦、当社に連絡して下さい」と伝えていました。
  • 担当者は、高齢者を狙った「リフォーム詐欺」の可能性も考えられると判断。どこに連絡していいかも分からない状況でしたが、マンションのある兵庫県神戸市は高齢者の支援活動が活発であり、元町山手にある《あんしんすこやかセンター》に相談の連絡を入れました。

目的

身寄りのない単身高齢者に対する詐欺疑いが発覚。対応のため、管理会社の担当者がご本人とともに行政の高齢者相談窓口に相談をしました。

実施内容〈バリューアップ〉

翌日に2人でセンターを訪問

翌日夕方、担当者がF氏に同行し、元町山手あんしんすこやかセンターを訪問。担当職員とセンター長の2名が対応に当たってくださり、その聞き合わせでF氏が直近で300万円程度の被害を受けた可能性があることが判明しました。さらにその翌日、あんしんすこやかセンターの方がF氏の自宅を訪問し、通帳等確認のうえで、本当に実被害があるか確認。その後、「ほぼ被害は間違いない状況。警察に連絡し対応予定です」との報告を頂きました。

10月25日、警察訪問

警察からは、「F氏の預金口座を確認したところ、直近の1年半程で合計300万円を超える被害があることが判明。過去の損害金について、戻ってくる可能性は少ないが、今後も口座には多額の現金があり、同様の手口が考えられるので、それを防ぐ方法を早急に協議する必要がある」とのお話しを頂きました。今後は後見人制度の利用も視野に入れ、あんしんセンターとF氏で協議することとなっています。


※イメージ写真

結果

  • その後、同県内にF氏の親戚がいることが判明し、今後の見守りも含めてご親戚が対応くださる事になりました。6年後の現在、F氏は高齢者介護施設に入居されましたが、ご親戚の対応もあり本当に元気に暮らしておられます。
  • 管理会社社員として、個人の問題に踏みこむことは、正直、タブーとなっていることも多いのが実情であるなか、管理会社がどこまで踏み込んでいいのかは永遠のテーマであると思います。しかし、もしもF氏が管理会社に連絡していなければ、詐欺に気づくこともなく、被害はさらに広がり、最悪1人で亡くなられることもあったかもしれません。今回は、F氏からの1本の電話によって、結果的には1週間で被害の全容と再発防止を行うことができました。管理会社の社員として、『声を聴く習慣をつける』ことの重要性を痛感した出来事でした。
  • また、神戸市に高齢者の支援に力を入れる行政機関があったことは幸いでした。震災を経験したまちだからかもしれません。


※イメージ写真

苦労した点・工夫した点

居住者の声

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受賞事例

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