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  • 2015.01.05掲載

マンションライフ総合支援で管理組合の良きパートナーに

新年明けましておめでとうございます。昨年も我が国は集中豪雨や台風、さらには広島での土砂災害、御嶽山の噴火や長野県北部の大地震と、各地で自然災害が発生し、多くの方々が被災されました。そして、東日本大震災で被災された方々も未だ避難生活を余儀なくされています。被災された皆様、避難されている皆様が一日も早く日常生活を取り戻されること、被災された地域の復旧・復興が早期に迎えられることをお祈り申し上げますとともに、本年が国民の皆様にとってより良い年でありますよう心からお祈り申し上げます。

◆管理業は新しいステージに

2014年を振り返ると、マンション管理業が新しいステージに入ったことを実感する出来事がありました。一つは分譲マンションストックが600万戸の大台を超えたこと(2013年末時点、国土交通省調査)です。7年間で約100万戸増えたわけですが、「マンション」の持つ意味合い、役割が大きく見直された1年でもありました。一昨年からの耐震診断の義務付け・耐震改修工事の促進に続き、敷地売却も可能となった建替の円滑化等、法整備が進みました。これは、管理業を考えるうえでも、益々意を強くするものと考えるわけです。特に3,500万人もの人口が集中する首都圏や東南海沖での直下型地震に対する備えが急務です。

もう一つは空き家問題。全国でその数は820万戸まで増加しました。分譲マンションではまだそう多くないですが、それでも空き家が目立ち始めています。マンションの空き家増加は管理費滞納、スラム化、防犯対策など、管理組合運営全体に影響を及ぼします。さらには賃貸化・高齢化による役員の成り手不足の顕在化や、シェアハウスの運用等によるトラブルなども散発しました。

◆電気代の値上がりと消費税増税

エネルギー問題も、マンション管理の現場で非常に切実なものになりました。新築マンションでは環境に配慮したスマート化が進んでいます。この傾向は、ますます強まるでしょう。一方、既存物件では、電気代が上がったことで管理組合の収支が厳しくなり、特に共用部分の電気代を節減できる高圧一括受電システムが注目されました。管理費の支出削減のため、管理組合が真剣に検討し始め、それに対応する形で管理会社の共用部分のLED化なども含めた種々の提案が活発化しました。マンションのエネルギー問題対策が否応なく進み、管理会社もその需要に応じた積極的な提案をする時代を迎えたことを示しています。

それに加え、管理組合にとって最も大きかったのは、消費税引き上げです。昨年4月に消費税が5%から8%に上がりました。消費増税で「単年度収支が赤字となる管理組合が3割~5割」になるという事前の指摘もあったとおり、余裕のある管理組合はそう多くないのが実情です。国民の実質賃金が伸び悩んでいる状況では、管理費を値上げするのはなかなか厳しいわけですから、負担増に対処するには支出を絞っていくことで乗り切るしかないのです。増税以降、管理組合と管理会社の双方が協力して支出を減らして乗り越えてきた年でもありました。電気代は上がる、駐車場収入は減る、消費税がまた上がるでは、今後さらに厳しい状況となることは避けられません。ここは管理組合と管理会社が知恵を絞り、互いに協力して解決していくしかありません。

◆管理組合目線で課題解決に向けた行動を

当協会は昨年、学識経験者に委託しておりました2つの研究成果を明らかにしました。一つは筑波大学花里俊廣教授グループの「マンション管理業における業務提供価値の明確化」、もう一つは東京大学大橋弘教授グループの「マンション管理業の実態調査報告書No.2」です。いずれも管理会社の提供する業務について、居住者の満足度をさまざまな視点から論じていますが、その中で改めてわかったことは、サービスの「見える化」の重要性です。管理会社へ委託するさまざまな役務への理解が深まるほど、居住者の満足度が高まっていく傾向がはっきりとしてきました。管理会社は常に管理組合に寄り添う存在です。管理組合目線に基づいたさらなるニーズを追求していかなければなりません。

一方で、東日本大震災を機にマンションの社会的役割、重要性が明らかになっています。その堅牢性による津波発生時の避難所としての役割、火災発生時の防火帯としての役割など、災害対策基本法の地域防災計画の中でも重要な位置づけであり、準公共財ともいわれるようになってきています。さらにマンションは、その建設時にインフラ整備を自ら行っており、同規模の戸建団地に比して道路や上下水道などの公共公益側の負担は、はるかに低廉なものとなっています。

当協会の会員会社は、そのマンションのうち、全国で550万戸、約10万の管理組合と直接つながっています。管理組合やマンション居住者というお客様のために、我々管理業界は何ができるか。管理組合には今後何が求められていくのか。その一つがマンションのための消費増税対策だと思っています。お客様と一緒になって、この難局を乗り越えるための活動ができないか。主人公は、プレーヤーである管理組合。これを支えるのがサポーターである管理会社の使命です。消費税の10%への引き上げが1年半延びました(2017年4月施行)が、協会として何ができ得るのか真剣に考え、管理組合と共に歩んでいきたいと考えています。