トップページ > 連載 > マンガで事例研究 >管理のルールと居住者への周知
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明海大学不動産学部教授 齊藤広子

◆管理組合って何? 理事って何?

「わーい。新居だ。やっと自分の家が買えた。今日から自由にするぞ!」

ピンポーン!

「管理組合の理事ですけれど、廊下に自転車を置かないでください。引っ越しのゴミは下の…。それから、昨夜遅くまで…。以後ご注意ください!」

「あ、はい。わかりましたが、ところで、管理組合の理事って何ですか? あなた誰ですか?」

◆新入居者 いらっしゃいませ!

春です。会社や学校にも新人さんが登場しますが、マンションでも新しく転居してくる人を迎える季節です。

ずっと住んでいる人には当たり前で生活習慣になっている居住ルール。でも、新しく来た人には知らないことばかりかもしれません。マンションのルールは、すべてのマンションで同じではありません。

ペットの飼育、駐輪場の使い方、駐車場の使用のルール、ゴミの出し方、楽器の演奏、リフォーム工事のルール、いざという時の避難場所や避難方法など。マンションではお互いが快適に暮らしていくために様々な居住ルールがあります。

知らないから近隣とトラブルになることがあります。知っていたら買わなかったという人もいるかもしれません。

思い出してください。家を買った時のことを。自分の住戸、間取り、内装、価格、引っ越しの日などに気を取られ、管理組合のことや居住ルールのことを十分に確認したでしょうか。

でも、住んでみるととても大事なのが居住ルールですね。毎日ゴミが出せるのか、自転車が何台置けるのか、住んでみると重要な事柄です。

◆入居予定者からみた購入前の管理情報

では、マンションを買う前にそんなことがわかるのでしょうか。新築マンションの場合には、華やかなパンフレットやモデルルームがあり、そこで丁寧な説明が受けられます。でも、あまり細かいことを聞くと、「それは住んでから皆様でお決めください」と言われ、困ってしまうことがあります。

一方、中古のマンションを買おうとすると、細かい居住ルールは決まっているのですが、購入検討者にはなかなか伝わってきません。

マンションを買う時に「知っていたら買わなかった!」ということがないように、購入契約までに重要な事柄はあらかじめ説明を受けることになっています。*1 これを(売買時の)重要事項説明といいます。マンションの場合にはどんな説明を受けるのでしょうか。中古マンションを買う場合をみていきましょう。

マンション管理に関する売買時の重要事項説明の主な内容です。 ①皆で所有し、管理する共用部分に関する規約の内容
②事務所使用の可否、ペット飼育禁止など専有部分の用途や利用制限に関する規約の内容
③バルコニー、専用庭等の使用方法や料金等、専用使用権に関する規約の内容
④計画修繕に備えて積み立てている修繕積立金に関する規約の内容と既存積立金額
⑤所有者が負担する通常の管理費の額
⑥管理会社の名前、住所、登録番号
⑦管理費などをある特定の人だけが減免されている場合等の規約の内容
⑧修繕の過去の記録がある場合にその内容

こうしてみると、確かに細かな居住ルールに関する項目はありませんね。そして難しい言葉で書かれており、なかなか頭の中に内容が入ってこないのが現実です 。*2

*1 これは宅地建物取引業法第35条、第37条で決められています。
*2 重要事項説明は法で必ず行われることになっていますが、住宅購入経験者のうち2分の1~3分の1の人しか重要事項説明があったことを記憶していないほど、内容に関しても理解が低いのが現実です。