- 連載
- マンガで事例研究
- 2022.10.03掲載
最近、「リバースモーゲージ」や「リースバック」等、聞き慣れない言葉を耳にすることが増えてきたような気がする。なんとなくではあるけれど、個人の不動産を活用して老後の資金を得るものだと思っていたら、「マンションの大規模修繕にリバースモーゲージが使えます」「そのために管理規約を改正します」といった案内があったりして、ますますわけがわからなくなってきたよ。
リバースモーゲージって何なんだろうか? リバースモーゲージが使える? まだ、高齢者というわけでもないし、規約改正と言われてもピンとこないし、放っておけばいいかな……。
●リバースモーゲージとは
そもそもリバースモーゲージとはどういうものなのでしょうか。リバースモーゲージとは、自宅を担保に融資機関から必要な資金を借り入れ、借り入れした人が死亡したとき、あるいは約定の期限が到来したときに、担保としている自宅を売却して一括して借入金を返済する仕組みです。
例えば、住まいの段差が多くてリフォームしたいけれど、その費用がない。だからといって家を売ったら、住むところがない……という場合などに利用ができます。一例として、国の「不動産担保型生活資金融資制度」があります。利用に当たっては、高齢者が居住し、本人が所有する住宅で担保権が設定されておらず、所有者自身が低所得者であることが条件になっています。貸付限度額は土地評価額の70%以内で、推定相続人の中から連帯保証人1名を立てる必要があります。 解約時あるいは契約終了時(死亡時)には、借受人・連帯保証人は元金と利子を一括して返済することになります。ただしこの制度は、残念ながらマンション等の集合住宅は対象となっていません(マンションが対象となっているものもあります(後掲)のでご参照ください)。
リバースモーゲージの仕組み
●リースバックとは
リバースモーゲージのように、自宅を活用してお金を調達しながら同じ家に住み続けられる方法としてリースバックがあります。リースバックは、リバースモーゲージと同じように元の住まいに住み続けることができますが、一旦自宅を売却します。そして売却した住まいを借りて住むことになります。また、売却した住まいを買い戻すことも可能です。こちらの利用は高齢者に限定されるものではありませんが、借家の期間が限定されていたり、買取り金額や家賃、買戻し金額の設定など、通常の住まいの売却や賃貸借とは異なる条件になっていることも多いため、細部にわたっての条件確認が必要です。なお、相続人の承諾は特に必要ありません。
リバースモーゲージとリースバックの相違
リバースモーゲージ | リースバック | |
---|---|---|
不動産活用の仕組み | 住まいを担保に融資を受け、死亡後に住まいを売却し、借入金を一括返済する | 住まいを売却し、買い取った事業者から住まいを借りて居住する |
事業者 | 銀行などの金融機関、住宅金融支援機構 | 不動産業者 |
住まいの所有者 | 居住者自身(所有権を持ち住み続ける) | 不動産業者(借家権で住み続ける) |
保有に係る税金 | 支払う必要がある | 支払う必要はない |
年齢制限 | 55歳以上など制限あり | 制限なし |
費用の使途 | 住まいに関することに限定される場合がある | 限定なし |
対象不動産 | 戸建て住宅、マンションは対象外の場合もあり | 制限なし (ただし、市場性などの条件等がある) |