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  • 2021.10.01掲載

監事って何?管理組合の監査とは?

横浜市立大学国際教養学部教授 齊藤広子

 管理組合の監事になったけれど、何をするんだろう。
 順番で役員が回ってきたので役職を決める話し合いに出席し、ジャンケンをしたら一番に勝った。周りの人に「監事がいいのでは?」といわれたので、「はい、はい」と答えたけれど、実際何をするのかわからない。今になって「監事になったの? 大変ね……」なんていわれ、不安になってきた。逃げ出したい気分だよ……。


●管理組合の監事の仕事は?

 監事の仕事は、管理組合の業務の執行や財産の状況を監査することです。つまり、管理組合の運営が民主的に進められているか、適正な会計処理がなされているか等をチェックする役目といったところでしょうか。マンションの管理を進めるうえで、管理組合法人でない場合は、監事を選任しなさいと法律で決められているわけではありません。しかし、実際には、管理組合で監事を選任しているマンションは97.7%あり、その人数は1人が78.6%、2~3人が15.6%となっています(*1)。2~3人のところもあるのですね。
 法律で決められているわけではないのに、どうしてこんなに多くのマンションで監事が選任されているのでしょうか。それは、監事が管理組合の運営上なくてはならないものだからです。
 具体的に何をするのか、マンション標準管理規約(以下「標準管理規約」と表記)(*2)で確認しましょう(表-1)。
 管理組合の業務の執行、財産の状況の監査をし、総会でその結果を報告します。問題がある、あるいはありそうな場合は理事会や総会を開催する権限も持っていることがわかります。

表-1 マンション標準管理規約第41条(監事)

(監事)
第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならな
 い。
2 監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対して業務の報告を求め、又は業務及
 び財産の状況の調査をすることができる。
3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集する
 ことができる。
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
5 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、
 使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認める
 ときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求
 することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日
 とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができ
 る。

(※1)平成30年度マンション総合調査結果より
    https://www.mlit.go.jp/common/001287645.pdf

(※2)各マンションの管理規約の参考資料として、国土交通省が作成したものである。単棟型、団地型、複合用途
    型がある。令和3年6月にIT化への対応などに関して改訂されている。
    https://www.mlit.go.jp/common/001410147.pdf 改訂の概要
    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001417732.pdf 単棟型
    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001417738.pdf 団地型
    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001417734.pdf 複合用途型