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  • 2014.01.06掲載

住戸の使い方のマナー

明海大学不動産学部教授 齊藤広子

◆ 事務所に使ってはいけないの?

どうなっているんだ!
隣に人が越してきたらしいが、深夜まで大きな音がするし、人の出入りは多い。何か上司が部下を怒鳴っている声も聞こえる。ここはマンションなのに、どうなっているんだ。
疲れて帰ってきて、これではますます疲れてしまう…

◆事務所への用途変更

どうも、この事例は、マンションの一室が事務所に用途変更されたようですね。深夜までの残業に、イライラした上司が部下を叱っているのでしょうか。社員だけでなく、打ち合わせに来る人など、頻繁に人の出入りがあるようです。そして、コンピューターや、プリンターの動く音が周りの住戸に響いてきます。

こうした利用を周りの住戸にされたら、本当に安眠妨害ですね。気が休まらないし、深刻な状態です。事務所だけでなく、店舗、ウィークリーマンション、高齢者用施設、保育室、シェアハウス、暴力団事務所、宗教関連施設になっていたなど、通常に想定している使い方から大きくかけ離れた使い方をする事例が出てきています。

どうしてこうなってしまったのでしょうか。

◆規約で利用の制限

マンションの管理規約で、住戸の利用について、どのような制限があるかを確認してみましょう。
マンションの管理規約とは、このマンションでは「ペットを飼ってはいけません」「事務所にしないでください」「管理費と修繕積立金はこんなふうに負担しましょう」といったルールを決めておくものです。管理の基本は区分所有法で決まっていますが、法律はどのマンションでも同様に適用されます。

そのため、あまり細かいルールをこの法律で決めておくわけにはいきません。どのマンションでも、そしてマンション以外の区分所有の建物すべてに適用できるように、所有や管理に関する最低限のルールだけがこの法律で決められています。

そこで、マンション内のルールを決めておくのが、管理規約になります。管理規約は区分所有者相互の契約です。借りて住んでいる人もこれに従う必要がありますし、区分所有者と一緒に住んでいる家族も同様です。

「住居専用」と規約で決めてある場合には、事務所にすることはできません。また、一部事務所などへの用途変更を認める場合でも、規約で利用の仕方を決めておくことが可能です。