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  • 2013.10.01掲載

管理会社への業務委託 管理会社に何を委託しているの?

明海大学不動産学部教授 齊藤広子

◆2000年にマンション管理適正化法の整備

「管理会社による説明会?そんなの私が理事のときにはなかったな」といわれるかもしれません。この制度は、2000年12月にマンション管理適正化法で整備されました。

重要事項説明書の例

○○管理組合 組合員の皆様へ
○○管理会社

貴管理組合と締結する管理受託契約の内容及びその履行に関する事項について、マンションの管理の適正化の推進に関する法律第72条に基づき、次の通り説明いたします。
この内容は重要ですので、十分ご理解されますようにお願いいたします。

管理業務主任者
氏名○○
登録番号第○○号
業務に従事する事務所○○ 電話 ○○
説明にかかわる契約の態様:新規・更新・契約更新(契約条件同一)

1.商号又は名称、住所、登録番号及び登録年月日
2.本マンションの敷地及び建物に関する事項
3.管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項
4.管理事務の内容及び実施方法
4-2. 法76条の規定により管理する財産の管理の方法
貴管理組合と当社の管理委託契約における財産の管理方法は、マンション管理適正化法施行規則第87条第2項第一号「イ」に該当します。
5.管理事務に要する費用並びにその支払時期及び方法
6.管理事務の一部の再委託に関する事項
7.保証契約に関する事項
8.免責に関する事項
9.契約期間に関する事項
10.契約の更新に関する事項
11.契約の解除に関する事項
12.法第79条に規定する書類の閲覧方法
13. この書面の原本を交付した方のお名前
別表 本マンションの敷地及び建物に関する事項

説明会で、業務内容を説明するのは、管理業務主任者(国家資格)です。

この法律では、管理会社が、管理組合の貯金を許可なく引き出したり、使ったりできないように管理組合の修繕積立金等金銭を保管する口座(保管口座)の印鑑は必ず管理組合が保管すること(通帳は管理会社も保管可能)、並びに将来の大規模修繕に備えて積み立てている修繕積立金の口座の名義が管理会社になっており、管理会社が倒産した場合、管理組合の貯金なのに、貯金が管理組合に帰ってこないということがないようその保管口座の名義は「管理組合」とすることなど、管理会社は管理組合のお金を分別して管理することも決められました。

さあ、知らないうちに、困ったさんになり、マナー違反にならないように、マンションの管理員・管理会社の役割を確認いたしましょう。

齊藤 広子 Profile
齊藤 広子
明海大学不動産学部教授。工学博士、学術博士。
(一社)マンション管理業協会「マンション長寿命化協議会」座長

専門は住まい学、住環境管理学、 居住のための不動産学。研究テーマは、マンションの管理、住宅地の住 環境マネジメント。日本マンション学会研究奨励賞、都市住宅学会論文 賞、日本不動産学会業績賞、日本不動産学会著作賞、不動産協会優秀著 作奨励賞、日本建築学会賞等受賞。
著書に『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価 値が上る住宅地』(学芸出版社)、『住まいと建築のための不動産学入門』 (市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出 版社)など多数。