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  • 2014.01.06掲載

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2013年7月に発足した「つくば市マンション連絡会」

つくば駅前の南大通と新築マンション
つくば市のマンション数の推移
日々の管理から老朽化に伴う修繕や建替えまで、マンション管理にまつわる問題は年々多様化し、マンション管理組合が果たす役割の重要性が増しています。
マンション管理組合が会員となる組織が各地で設立され、相互協力のネットワークが確立されてきました。
その中でも特に自治体や公共団体とともに、地域に根付いた活動をしているマンション管理組合ネットワークを取り上げるこのシリーズ。
第4回目は、今年発足したばかりのつくば市マンション連絡会の取り組みをご紹介します。

◆「つくば市マンション連絡会」発足

1960年代から「筑波研究学園都市」として開発が進められたつくば市。国内最大の学術都市である同市は、2005年に首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス(以下、TX)が開通し、都心のベッドタウンとしての色を強めています。マンションの数も増え続けており、現在は約60棟、5,000戸を超えるマンションが建てられるようになりました。

そんな背景から、市の協力のもと、今年3月に「つくば市マンション連絡会」が発足。7月には設立記念セミナーが開催され、つくば市のマンション管理組合ネットワークは歩みを始めました。

連絡会発足の旗振り役であり、現在も事務局として活躍されている特定非営利活動法人つくばハウジング研究会の藤本秀一氏、連絡会会長の後藤哲郎氏、同事務局長の高橋麻理氏の3人にお話を伺いました。

◆きっかけは東日本大震災

今年7月に開催された設立記念セミナーの様子 「TXの開通で一気に大規模マンションが増えたこと、また東日本大震災で被災したマンションがあったことから、“マンション同士の情報交換の場が必要だ”という問題意識がおこり、声掛けをしたんです」と語るのは、つくばハウジング研究会の藤本氏。そこでまず昨年3月に、日本マンション学会主催の「第1回つくばマンション管理セミナー」を開催しました。

一方で、実は以前から管理組合のネットワークができていました。つくば駅前に大規模マンションが数棟建ちはじめた03年頃、マンションの管理組合の役員が近所に声掛けをし、3、4棟で情報交換し合うようになっていたのです。しかし、役員が変わると連絡がつかなくなるマンションもあり、自然と立ち消えになってしまっていました。

◆3者に共通する問題意識

右からつくばハウジング研究会の藤本秀一氏、つくば市マンション連絡会会長の後藤哲郎氏、同事務局長の高橋麻理氏 そこに起こったのがあの震災です。軽微ながらも被害にあったマンションが数棟あり、被災状況やその後の対応など、他のマンションと情報を共有する必要性を感じ、再び以前のネットワークを頼りに連絡を取り合おうとしていた矢先に、セミナーの案内があったのです。

また、つくば市としても震災時にマンションに対して一斉に連絡を取る手段の必要性を感じていました。そこで、セミナー開催の呼びかけに対して、共催という形で協力するとともに、会場提供等、連絡会の立ち上げに尽力してきたのです。

つまり、市、管理組合、研究機関の3者が震災を機に同じ問題意識を持って集結し、協力し合ってできたのが、「つくば市マンション連絡会」でした。

◆学術都市ならではの連携を

緑豊かな幹線道路沿いに建つ大規模マンション 現在、連絡会の組織は会長1名、副会長2名など役員8名、事務局をつくばハウジング研究会が補助、市は後方支援という形態で運営されています。会員数は、個人会員が13名、団体会員が6名、その他賛助会員が数名。

活動としては、数か月に1度程度の勉強会や年1、2回程度のセミナー・交流会を開催するほか、市をはじめとする公的機関との連携も積極的に図っていきたいとしています。

60年代の街づくり当初から、歩車分離が計画されたつくば市。写真は2階レベルに設けられた遊歩道 「研究学園都市であるつくば市には、専門の研究機関も多い。マンションに暮らす人はもちろん、専門家や公的機関と上手に連携を取り合うことで、より複層的で有意義な情報交換のネットワークを作ろう、というのが連絡会の狙いです。連絡会はその機会の場として機能していくことができれば、と考えています」と、連絡会会長の後藤哲郎氏は語ってくれました。