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  • 2010年夏号

快適なペットライフのためのマナーとルール

株式会社クララ 代表取締役 薬師寺 康子

◆ペットクラブ活動の例

あるペットクラブの活動をご紹介しましょう。
都心にある大規模マンションでのドッグクラブ活動です。このドッグクラブは任意加入の団体であり、将来的に自主運営に移行していくための足掛かりとして、入居開始後2年間は開発会社が活動を支援していました。

大きな規模のマンションでは、飼育者だけで全体をまとめることは困難であり、立ち上がり当初は開発会社や管理会社の支援を得ることも必要でしょう。しつけ教室、ドッグダンスレッスン、ドッグアロマセミナー、ゲーム大会、ドッグマナー教室など、会員交流によるコミュニティ作りと飼育マナーの啓蒙を目的に、年に数回いろいろな企画を行っていました。徐々に会員数も増え、クラブ員の中にはさらに親しい小グループができるなど、活発な交流が進んだようです。

「ペットクラブ」の活動は、ともすればペット飼育者だけになりがちですが、このマンションでは、マンション全体や地域のイベントにもペット関連のプログラムを組み、非飼育者と飼育者との交流を積極的に働きかけたのが特徴的です。例えば、地域のお祭りで愛犬写真コンテストを開催、住民から応募された多数のかわいい犬たちの写真を掲示し、その写真を通じて非飼育者と飼育者との間で和気あいあいとした楽しい会話が生まれていました。非飼育者と飼育者が交流できる場は、今後いろいろな問題をスムーズに解決していくうえで、とても重要です。

また、地域の防災訓練のイベント時に災害救助犬のデモンストレーションを行い、救助犬の活躍を通じて犬のすぐれた能力と社会的役割を広く知ってもらっていました。また、飼育者同士が仲間意識を持つことで、マナーを守る意識も高まります。このドッグクラブでは、マンション飼育者の一員としての自覚を生み出すため、お揃いのドッグタグを皆に装着してもらう試みを行っていました。

◆これからも快適なペットライフを送るために

ペット可マンションで快適にペットと暮らしていくためには、まずは、マンションのペット飼育規約を飼い主が遵守しなければならないことはいうまでもありません。その上で、「ペットクラブ」などマンション内の飼育者コミュニティが連携し、飼い主の模範となって、マナーの良い環境作りを進めていくことです。

そして、クレームが発生したときはその受け皿となって迅速に対応することで、非飼育者は「ペットクラブ」を信頼し安心して生活が送れます。また、日頃から非飼育者と飼育者との交流も大切にし、お互いの意見がスムーズに通わせるよい環境作りも心がけたいです。

「快適なペットライフ」とは、飼育者も非飼育者もペットも皆が心地よく過ごせる生活です。人とペットが上手に共生していくためには、ペットの習性への理解も必要です。その理解がないルール作りでは、守ることが難しいものになりかねないでしょう。

マンション住民みんなが支え合い助け合い理解し合って、人とペットとの上手な共生環境を考えた「快適なペットライフ」が実現することを願います。

Profile
薬師寺 康子(Yasuko Yakushiji)
ペット共生住宅のトータルサポートを手がける株式会社クララの代表取締役を務める。
著書に『いぬのこころねこのこころを考えたマンションライフ』(住宅新報社刊)
クララホームページアドレス http://www.clala-pet.com