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  • 2014.04.01掲載

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取材レポート マンション集会室の有効利用

中~大規模のマンションでは、共用施設として集会室が設置されています。集会室は、主に管理組合の理事会等の話し合いの場として利用されていますが、さらに居住者同士のコミュニケーションの場としての機能も持ち合わせています。今回の特集では、集会室を有効利用している事例をご紹介します。

集会室をフル活用! 読書室は手作り図書館に

集会室はサークル活動にフル活用し、何と自前の図書館まで作ってしまったマンションの管理組合があります。

◆管理組合を中心としたコミュニティの輪

川崎市にあるこのマンションは、26年前に建てられた5棟構成、総戸数500戸以上の大規模マンションです。管理組合を中心に、良好なコミュニティが形成されているのが特徴で、各種委員会やサークル、グループ活動が盛ん。何と、マンション内の有線放送設備として、自主番組の制作を行う「CATY運営委員会」まで組織されているほどです。

図書館内の様子。奥に見える3つのブースが、勉強室 そんなマンションには、大規模物件らしく独立棟(1階に店舗、2階に集会室、3階にロッカーとシャワー室完備のスタジオがある)、自治会室や和室のある管理棟、さらに5棟目の1階には談話室もあり、そのすべてをフル活用して、様々な活動が行われています。

◆有志の力で、図書館へ大改造

図書館内の配置図 管理棟の2階にある図書館は、分譲時は「読書室」として設けられていた施設で、机がいくつかと本を読むための個室スペースが数か所あった場所でした。しかし、実際にはほとんど機能しておらず、倉庫代わりに使っていたといいます。

図書館内にはソファやテーブルも置かれていて、使いやすいように工夫されている 15年ほど前、防災倉庫を別に作ったことで読書室が空になり、せっかくだから何かみんなの役に立つ場所にしようと、ライブラリーにすることを思い立ちました。

本箱を買い、室内の改造も自分たちで行いました。それまで半畳ほどの個室の学習室が5戸あり、鍵がかかるようになっていたのを取り壊してオープンにし、代わりにカーテンで開け閉めできる学習室を3戸設けました。

◆居住者から本を集め、居住者が運営

蔵書については、マンション内に掲示をし、いらなくなった本の寄付を求めると、千冊もの本が集まりました。ある程度きれいなものを選別し、ジャンルに分けて整理して、この際だからとすべてに番号を打って貸し出しができるようにしました。

驚くことに、これらの作業はCATY運営委員会を中心とした4、5人で、暇を見つけながら行ったそうです。また、図書館の運営のために、新たに「図書専門委員会」を立ち上げ、有志に参加してもらいました。現在では、蔵書も当時の倍の2,000冊に増え、辞書は新たに購入するなど、住民に必要と思われる本を置くようにしています。

当初は主婦の方にカウンターに座ってもらっていましたが、今はすべてのデータをパソコンで管理し、貸出希望の時はパソコンに入力するだけで済むようにしています。その代わり月に1、2度は巡回して、欠番がないかなどを見回っているそうです。

◆集会室、談話室も大活躍!

独立棟にある収容人数100名ほどの集会室は、さまざまなサークル活動の主な舞台となっています。コーラス部やストレッチのほか太極拳、フラダンスなど、サークル数は全部で16種類ほどあるそうです。

高齢者の憩いの場となっている談話室 また、5棟の1階にある談話室は、やはり10年前までは物置になっていたところを改装し、バリアフリー仕様にしました。今では絵や書道など作品の掲示をするほか、週2回居住者のボランティアさんが参加して、入居している高齢者の方達の交流の場ともなっているそうです。