トップページ > 連載 > マンガで事例研究 > ロングスパンでのマネジメント計画を-SDGsの実践とともに-
  • 連載
  • マンガで事例研究
  • 2023.10.02掲載

ロングスパンでのマネジメント計画を-SDGsの実践とともに-

横浜市立大学国際教養学部教授 齊藤広子

 SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の活動が広がって、いろんな取り組みがあるというけれど、僕自身にはまったく関係ないよな。毎日の生活で何か関係することがあるのかな。いろいろいわれているけれど、身近に感じないし、日々の暮らしに影響がない気がする。特別な人や組織の取り組みなんだろうな。


●SDGsとは?

 SDGsの活動が広がりを見せてきました。SDGsとは、2015年9月の国連サミットで全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でよりよい社会の実現を目指す国際目標です。2030年を達成年限として、17のゴール・169のターゲットから構成されています。
 マンションの管理でも、さまざまな取り組みがSDGsにつながっています。安心安全で健康的な住まいの場の確保(ゴール3)、皆で管理するために学びあう(ゴール4)、関係者がしっかりと連携する(ゴール17)、環境に配慮した暮らし方(ゴール13)、地震などの災害に強いマンションにしていくことで、皆の暮らしを支える(ゴール11)、そして、皆で管理をすることは、そこに暮らす人々が「共同の責任」を果たす(ゴール10)ことになります。
 マンション内でのこんな取り組みがあります。マンション敷地内への「夜のパン屋さん」の出店誘致です。
 「その日の食事にも事欠く人たちが増える一方で、日本では食品が大量に廃棄されている。大切に作られた食べ物を預かって、最後まで無駄にせず、そして同時に仕事を生み出していくことはできないか」。そんな想いから、生活自立支援団体が運営する「夜のパン屋さん」は生まれました。
 何軒かのパン屋さんと提携して、その日売れ残ってしまいそうなパンを前述の団体が有償で引き取り、「夜のパン屋さん」という名で販売(車両での移動販売)するのです。パンを廃棄せずに販売・食べきると同時に、パンの回収と販売という新たな仕事も創出しています。買う人にとっては、日替わりでいろいろなパン屋さんのおいしいパンを選んで購入することができるという楽しみも生まれる取り組みです。マンション敷地内へ出店するにあたっては、管理組合と管理会社が連携し、運営団体とも密にかかわりを持ち、防犯面や販売員に対する消極的な意見などの懸念事項に1つ1つ丁寧に対応し、これを払拭することで実現に至りました。(詳細は一般社団法人マンション管理業協会のホームページhttps://innovationforum.jp/2021/sho_top/sho421/をご覧ください)。

 本当に素敵な取り組みですね。パン好きの私としては、住みたくなるマンションです。ほかにもマンションならではの多様なSDGsの取り組みができそうですね。

出典:外務省パンフレットより