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  • 2018.07.02掲載

修繕積立金が足りない?

横浜市立大学国際総合科学部教授 齊藤広子

組合ニュースに、「修繕積立金が足りないので、値上げをします」って書いてあるけれど、そう簡単に言われても困るなあ……。
そもそも何のための費用なんだ? なんで足りなくなったんだ! 誰が使ったんだ!?
このままどんどん上がっていったら、どうなってしまうんだろう、心配だな。ずっとここに住んでいられるのかな?
そうだ! 何が何でも値上げに応じないか、積立金を支払うのをやめよう。そうしようそうしよう!!


●修繕積立金って何?

 上記のような、修繕積立金の支払い拒否は、区分所有者としての責任を果たしていないことになります。
 マンションという建物を長持ちさせるには、計画修繕が必要になります。「マンションは100年使える」といわれますが、その前提に「計画修繕をきちんとした場合」という条件があります。もちろん、マンションだけでなく、どの建物も同様に計画修繕が必要ですが、マンションの場合は、みんなで所有し、利用する共用部分の修繕は、区分所有者全員が協力して費用を負担することになります。ですから、例えば、住人によっては「今年は会社の景気が悪くて、ボーナスも出ないし……」というようなこともありえるので、必要な時に必要な金額を集めましょうというのでは、なかなか費用は集まりません。そこで、必要な時に、必要な費用が準備できるように、あらかじめ、いつ、どのような修繕を、どの程度の費用をかけて行うのか、計画を区分所有者で共有し、そのために必要な費用を積み立て、計画修繕に備える必要があります。そのため、長期修繕計画を策定したうえで資金計画を作成し、それを根拠とし、毎月、各住戸が負担する修繕積立金の金額を決め、費用を積み立てていきます。ですから、建物を長持ちさせるために、修繕積立金はとても大事なのです。

●大規模修繕工事

 建物を修繕すべき時は、その建物の建てられた状態、その後の経過によって異なります。目安としては、4~6年で鉄部の塗装、約12年で外壁の塗装や屋上防水のやり直し、築20年を過ぎると、設備関係の工事等が必要となってきます。外壁や屋上、設備の修繕を一般的に大規模修繕工事と呼んでいます。街なかで、マンションに足場をかけ、ネットが張られているのを見かけることがあると思います。そこでは大規模修繕工事を実施しているのです。