調査・研究

マンション管理事務室における現金のカード決済化推進支援事業の結果の公表

4.本事業の取り組み内容

 事業開始から終了までのおおまかな流れは以下のとおりである。

 4~6ヶ月間、モデルとなるマンション居住者の皆さんに実際に管理室窓口での電子決済を利用してもらい、利用実績と感想を収集することで、その導入から運用におけるメリットやデメリット、課題を探った。

 実証にあたっては、キャッシュレス化に取り組み、本事業での協働の趣旨に賛同された管理会社、日本総合住生活㈱、住商建物(株)、日本ハウズイング(株)の3社に協力いただいた。

 実際に管理室に決済端末を設置するマンションの選出にあたっては、タイプの異なるマンションで検証することで多角的に事例収集が行えるよう、各社には候補の選定を依頼した。

 正式な事業開始の決定後、対象のマンション管理組合に対しては、管理会社の協力を得て実施の申し入れを行い、順次、理事会での承認等の手続きを進めた。

 各管理組合に対しては、国の補助事業であり、実証期間中に発生する管理組合の負担は、原則としてないという条件で協力の申し入れを行った。交渉の過程においては、本事業終了後のランニングコスト等の負担先について調整がつかなかったため実施を見送ったマンションもあったが、最終的にはタイプの異なる3つのマンション管理組合に協力いただくこととなった。

 また、決済サービス事業者ならびに電子マネーサービス提供事業者については、それぞれの管理受託会社とも協議の上、数ある中から、(株)リクルートライフスタイル、三菱UFJニコス(株)、ヤマトシステム開発(株)の3社に協力をいただいた。(3社のサービス仕様等の情報は、6.添付資料参照)最終的に、下表の組合わせにより実施した。

 本報告書においては、個別のマンション名の掲載については差し控え、文中では①・②・③として表記する。

 なお、同様のサービスを提供している事業者は多くあるが、今回はマンション管理組合向けであるという点、また補助事業ということで期間等の制約を受ける中での実施となる点を踏まえ、条件にマッチした事業者に協力いただくこととなった。

 事業の開始から終了までのおおまかな流れは、■事業の活動スケジュール(例)を参照

 現地での実証を開始するまでの準備期間として、概ね3ヶ月程度要した。

■事業の活動スケジュール(例) PDF

■それぞれのマンションにおける主な活動履歴 PDF

■管理室の設置状況

■各マンションの状況の概略

 いずれのマンションも管理員1名が専属で勤務していて、現地で決済端末の操作、居住者応対を行った。そのため各管理員には、積極的に利用者に対して電子決済の利用を勧めていただいた。

 結果として、②と③のマンションにおいては、事業期間中は、ほぼ電子決済が利用された。

 これに対して①のマンションは、決済総件数が月平均144件に対して電子決済は4件と、電子決済の利用率は3%に満たず、依然として現金決済が圧倒的に多いという結果だった。取扱い費目が多数あり、昔からの現金決済の習慣が定着していることが、電子決済への抵抗感の一因になっている模様。

 居住者を対象としたアンケートの結果にも表れているが、電子決済による利便性と費用対効果への考え方の違いが背景にあるものと推測される。

 実証期間の中間あたりで、各マンションの居住者を対象として、以下のような設問(ほぼ同じ内容)のアンケートを実施した。

■アンケート PDF

■各マンションのアンケート結果 PDF

■最も多かった回答とその比率

 総じて、電子決済を導入することに対する肯定的な意見が多く、「あれば便利」「これからは必須」が大勢を占めていた。

 各マンションでの居住者アンケート結果から、下表のようなそれぞれの特徴が窺える。

 ここからは、実際に管理室で居住者の対応をした管理員ならびに管理会社の担当者・統括部門の方々へのヒアリング結果を紹介する。

 各マンションでの実証期間の中間と終盤において、管理会社からマンションの管理員、担当者ならびに統括部門の方々に共通の質問項目にて意見・感想を伺った。

■中間ヒアリング(管理員) PDF

■中間ヒアリング(担当者、統括部門) PDF

■終盤ヒアリング PDF

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