調査・研究

マンション管理事務室における現金のカード決済化推進支援事業の結果の公表

3.本事業のねらい

管理事務室における金銭事故防止策のまとめ

 キャッシュレス化は世の中の潮流であり、またマンションにおいても、利用者の利便性の向上、管理室等で現金を取り扱うリスクの低減に資するものと考えられる。

 当協会では、会員社の管理受託マンションにおける現金取扱いの極少化を図る観点から、管理会社やマンション管理組合の実情にあわせた複合的な対応によるキャッシュレス化方策を会員社に対して紹介している。 以下の図は、「管理事務室での現金取扱いの極少化施策等」をはじめ現金取扱いのリスクを極少化する方策を紹介しており、会員社では社内体制の整備、ならびに管理受託組合へのキャッシュレス化の提案に取り組んでいる。

■「管理事務室での現金取扱いの極少化施策等」 PDF

 下図は、前出の調査からの抜粋となるが、会員社による現金取扱いの事故防止策について聞いたところ106 社から回答があった。

 1番目の「口座振替」はマンション管理組合の管理費等の収納に利用されている代表的な決済手段であることから、これを活用することが最も馴染みやすいのは容易に想像できる。

 次に「管理組合口座への直接振込」が多かった。これは振込に必要な情報を伝えれば足りるという比較的簡易な方法ではあるが、振込者側の能動的なアクションに委ねられるところが大きいため、未収リスクが高い手法といえる。

 そして、3番目として「電子マネーの導入」と11社が答えているが、その割合としては約10%にとどまっている。管理室での電子決済は、既に一部の管理会社が導入を進めているものの、広く普及するまでには至っていない。世の中のキャッシュレス化は拡大傾向にあり、マンションでの導入も見られるようになってきたが、まだ広く浸透していないことが窺える。

 こうした背景を踏まえて本事業では、キャッシュレス化の手段の一つとして電子決済をマンションにおいて実証実験することで、居住者の利便性の向上、業務の効率化、現金毀損リスクの低減を目指した普及の方策とその課題の検証に取り組んだ。

main contents