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弁護士 篠原みち子先生のマンション管理お役立ちコーナー

【相談事例 目次】

相談事例

期の途中で監事が部屋を売却・転居してしまい、監事が欠員となりました。
欠員となった監事を、理事会で選任できますか。

篠原先生の回答

ご相談の事例では、まず規約にどのように定めているかによって対応が異なります。
マンション標準管理規約では、理事及び監事は、組合員のうちから総会で選任するとしており、欠員補充の方法についての定めは置いていません。マンション標準管理規約に準拠している規約であれば、総会で選任することとなります。 ただし、マンション標準管理規約コメントでは、役員が任期途中で欠けた場合、補欠の役員を理事会の決議で選任することができる旨を規約に規定することもできるとしています。規約にそのような定めがされていれば、理事会で監事を新たに選任することができます。
理事・監事の欠員補充のためだけに総会を開催することは大変ということであれば、補欠役員の選任に関し、あらかじめ規約に規定しておくことを検討した方がよいでしょう。また、管理組合の規模にもよりますが、監査機能の強化と充実のため、監事を2名とし、欠員が生じても支障のないようにすることもひとつの方法として検討してみてもよいでしょう。

【参考】

マンション標準管理規約
 第35条(役員)
2 理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
 第36条(役員の任期)
役員の任期は○年とする。ただし、再任を妨げない。
2 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
4 役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う。
(コメント) 第36条関係
③ 役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合、補欠の役員を理事会の決議で選任することができると、規約に規定することもできる。

相談事例

監事の職務として、管理組合の業務監査と会計監査がありますが、このうち会計監査については、 公認会計士など外部の専門家にも監査を依頼したいと考えています。そのようなことは可能でしょうか。
なお、当マンションの規約は、マンション標準管理規約に準拠しています。

篠原先生の回答

マンション標準管理規約では、監事は、組合員のうちから総会で選任することとしていますので、組合員以外の者を監事として選任することはできません。したがって、組合員以外の者(外部の専門家)を監事に選任できるようにするためには、規約を変更しなければなりません。
ご相談の事例では、外部の専門家を監事として選任するわけではなく、組合員の監事が業務監査と会計監査を行うにあたり、会計監査については、専門的知識を有する者による会計監査も受けられるようにしたいとのことですので、マンション標準管理規約第34条の専門的知識を有する者の活用が考えられます。
マンション標準管理規約第34条では、管理組合は、専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができるとしています。また、マンション標準管理規約コメントでは、管理組合が支援を受けることが有用な専門的知識を有する者として、国家資格取得者や民間資格取得者の例をあげていますので、参考にするとよいでしょう。
なお、外部の専門家に依頼することや報酬の額などが総会で事前に事業計画や収支予算案として承認されていれば、具体的な依頼先については理事会の決議でできると思われますが、そうでない場合は、総会であらかじめ承認を得ておくことが必要でしょう。

【参考】

マンション標準管理規約
(専門的知識を有する者の活用)
第34条 管理組合は、マンション管理士(適正化法第2条第五号の「マンション管理士」をいう。)その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。
マンション標準管理規約 (コメント)
第33条及び第34条関係
② 管理組合が支援を受けることが有用な専門的知識を有する者としては、マンション管理士のほか、マンションの権利・利用関係や建築技術に関する専門家である、弁護士、司法書士、建築士、行政書士、公認会計士、税理士等の国家資格取得者や、区分所有管理士、マンションリフォームマネジャー等の民間資格取得者などが考えられる。

相談事例

管理組合法人の監事と、法人化していない管理組合の監事の職務・権限に、違いはありますか。

篠原先生の回答

管理組合法人の監事については区分所有法に定めがありますが、法人化していない管理組合の監事についての定めはありません。しかし、どちらも、規約に基づいて職務を行うため、大きな違いはありません。
区分所有法とマンション標準管理規約(非法人の規約モデル)を比較すると、どちらも、管理組合の業務監査および会計監査を職務として定めるとともに、管理組合の業務に不正があるときは臨時総会の招集権限を認めており、法人化の有無による違いは見られません。
相違がある点は、集会(総会)への報告のあり方についてで、法人の場合(区分所有法)は、財産状況や業務執行について、法令・規約違反、又は著しく不当な事項があったと認めるときは集会(総会)に報告するとしているのに対し、非法人の場合(マンション標準管理規約)は、監査結果を総会に報告しなければならないとなっています。
また、法人の場合は、法人とその理事との間で利益が相反する事項については、監事が法人を代表する権利(監事の代表権)が定められているに対し、非法人の場合は監事にそのような代表権の定めはありません。
以上の点から、管理組合の業務等に違法行為などがなく、また、管理組合法人と理事との利益が相反するようなこともなければ、監事の職務に法人化の有無による違いはほとんどないと言ってよいでしょう。

【参考】

区分所有法
第50条(監事)
管理組合法人には、監事を置かなければならない。
2 監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。
3 監事の職務は、次のとおりとする。
 一 管理組合法人の財産の状況を監査すること。
 二 理事の業務の執行の状況を監査すること。
 三 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、
    集会に報告をすること。
 四 前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること。
第51条(監事の代表権)管理組合法人には、監事を置かなければならない。
管理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表する。
マンション標準管理規約
第41条(監事)
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。

相談事例

ある工事の内容で疑わしいところがあるので、監事の権限で第三者に調査を依頼したいのですが、 そのようなことは可能でしょうか。
なお、当マンションの規約は、マンション標準管理規約に準拠しています。

篠原先生の回答

マンション標準管理規約第41条では、監事の権限は、「管理組合の業務の執行及び財産の状況等に不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる」(第2項)、また、「理事会に出席して意見を述べることができる」(第3項)としており、第三者に調査を依頼する権限まではないと考えられます。
総会の監査報告で、業務の執行状況の監査結果として工事に関する疑義を報告し、管理組合として第三者による調査を検討してもらうという方法も考えられますが、円滑な管理組合運営を考えると、いきなりそのような方法を取ることはあまり好ましくないでしょう。
まずは理事会に出席して、疑義のある工事について意見を述べ、理事会から説明を受けることが必要でしょう。

【参考】

マンション標準管理規約
第41条(監事)
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。

相談事例

監事が業務監査や会計監査で使用できるチェックリストのようなものはありませんか。

篠原先生の回答

国土交通省が平成17年12月に公表した「マンション管理標準指針」というものがあります。本指針は、管理組合活動の現場等でチェックリストのような形で利用できるようになっています。マンションを適正に管理するために考慮すべき事項のうち、特に重要性の高い項目を選定し、項目毎に「標準的な対応」と「望ましい対応」を示しており、項目は大きく次の5分野に分類されています。
 一 管理組合の運営
 二 管理規約の作成及び改正
 三 管理組合の経理
 四 建物・設備の維持管理
 五 管理業務の委託
「標準的な対応」は、マンションを適切に維持・管理していくために留意すべき原則的な水準を示したものです。また「望ましい対応」は、実施率や達成率が比較的低いものの、これを満たすことによりマンション管理の一層の適正化や向上が期待できるものであり、標準的な対応に達した管理組合の、次の目標として目指す水準を示したものです。
この指針をひとつの指標として参考にするのもよいでしょう。
詳細な内容は、以下の国土交通省のホームページに掲載されています。