マンション・バリューアップ・アワード

マンション・バリューアップ・アワード

マンションライフ・シニアライフ部門
(住み心地、居住価値向上、高齢者対応)

特別賞
コロナ禍の中でつながり続ける
“長屋型マンション”

毛馬コーポゆうゆうクラブ
青山ヒフミ様

背景

  • 都市部にある築42年、11階建て、総戸数198 戸の大規模マンションです。42年前に団塊の世代を中心に入居、その後定住した世帯も多く、現在の住民の高齢化率は62.5%に達しています。
  • 独居高齢世帯や持病を持つ住民も多く、それぞれが今後の生活や介護、医療に不安を感じていました。さらに、都市部大規模マンションのもつ人間関係の希薄さが、その不安を助長させていました。
  • そのような中、2015年に数名の住民がそれらの課題に対応するために「ゆうゆうクラブ」を設立。マンションの集会室で住民が自由に交流できるカフェから取り組みを開始しました。

目的

  • 「年をとっても元気に明るく楽しく暮らせるマンション」を自分たちで創り出したいと考えました。そのために必要な介護、医療の知識を学び、情報を共有し、ほどよい距離を保ちながら住民同士がつながり、助け合える“長屋型マンション”を創ることがクラブ創設の目的です。

実施内容〈バリューアップ〉

「ちょっと楽しい在宅医療勉強会」

自宅で最期まで暮らすために欠かせない医療、介護の知識を得るための勉強会を年間5回程度開催。住民が今、知りたい知識や情報を学び交流する場として、3年間継続開催しています。常時30名前後、延べ参加者は約320名。レゴブロックを使用した交流、闘病体験談など、参加者が自然と意見を出しやすい構成にしています。現在は、コロナ禍の中で活動を継続するために、Zoomを活用した「コロナ質問会」、「ズームZoom茶話会」、感染対策をした上で対面勉強会とZoomを組み合わせた在宅医療の勉強会も開催中です。参加者、世話人とも年々増加しています。

有償ボランティアグループ「お手伝いネット」

生活上のちょっとした困りごとを住民同士で助け合う仕組みです。住民アンケートで要望のあった電球交換、包丁研ぎ、安否確認、介護を要する方の見守りなどを1回100円より受け付けています。家具の移動など力仕事の依頼には、若い住民が担い手となり、多世代交流の場にもなっています。

コーラスサークル

外出が困難になった住民の「歌を歌いたい」の声を受けて始まりました。マンションの集会室が会場なので、長距離の移動が困難な住民も車いすなどで参加できています。コロナ禍の現在はマスクやフェースシールドを使い、1回の人数を15名程度に制限し、入れ替えを行う2部制で続けています。

コロナ禍の取り組みと活動の強み

コロナ禍の中でゆうゆうクラブでもほとんどの活動が一時中止になりましたが、社会福祉協議会などの支援を受けて高齢者であってもZoom が使えるように練習し「Zoom コロナ質問会」「Zoom お茶会」などを開催しました。その後も定期的なZoom 勉強会を開催。Zoom を使うことで、これまでの大切なつながりを絶やさない工夫に挑戦しています。またレゴブロックを使って「今後ありたい毛馬コーポの姿」をグループで語り合い、全体にプレゼンテーション、思いを伝えあいました。ここから「お手伝いネット」が生まれました。

住民に看護師、薬剤師、栄養士など専門職がおり、また近隣に在宅医療に熱心な医師や、社会福祉協議会の生活支援コーディネーターなどさまざまな協力者が存在していたことも「ゆうゆうクラブ」の活動の強みとなっています。

結果

  • 当初はシニアが自分自身の課題に取り組んだことがスタートでした。今Zoomの活用、重い家具の片づけなどは若い力が有償(お手伝いネット)・無償のボランティアで手伝ってくれるようになりました。また、親を介護する立場の住民が知識の必要性を感じて勉強会に参加するなど、多世代交流の場へと進化してきています。
  • 男性は地域のコミュニティに参加することが少なく孤立しがちですが、ビアパーティ、お手伝いネットの包丁研ぎなどを通して交流が進み始めました。
  • 近隣の他のマンション住民から、ゆうゆうクラブの活動への参加希望が多く寄せられています。その場合、参加者全体の1/3の人数の範囲で加わっていただき、喜ばれています。
  • マンションのハード面での長期修繕計画に基づくメンテナンスと、ゆうゆうクラブのソフト面での活動が、マンションの価値を高めていると感じています。事実、築42年のマンションですが、資産価値は目減りが少なく、新たな入居希望者が継続的に存在しています。

苦労した点・工夫した点

  • 苦労した点は費用面です。有志で立ち上げた団体なので、収入がありませんでした。活動を継続する中で、住民が所属する町会(マンション単独で1 町会を形成)の下部組織の実年会(老人会)と連携し、講師謝礼などの費用は実年会から助成を受けられるようになりました。
  • 世話人で頻繁に話し合いコミュニケーションを大事にしました。事前打ち合わせや活動終了後のふり返り会などの対面の会議だけでなく、メール、ライン、マンションの郵便受けを使ったメモの交換など、こまめに連絡を取り合いました。
  • 世話人は得意分野を見計らい、会計、記録、司会進行など役割分担を自然な形で決めていきました。
  • 活動を続けていくと参加者は固定化し、先細りになりがちです。通りがかりや立ち話を通して声をかけ、新たな参加者に呼びかけました。チラシやマンションの掲示板も有効ですが、その上で直接声をかけることは参加者が増えてゆく決め手になりました。

居住者の声

  • 年をとって遠くのイベントへ行けなくなったので、同じコーポ内で体操や勉強会などいろいろできるのは嬉しいし、楽しいから続けられています。
  • 近くで手軽に参加でき、知り合いも増えて心強いです。エレベーターで会うとあいさつしあえる人が増えた。
  • コロナによる自粛生活が長引き、人と話さない、身体を動かさない生活が続いている中で、Zoom お茶会で知り合いと顔を見ながらしゃべることができ、思いがけず楽しい時間でした。画面に映るので少し身ぎれいにしたり、室内を片づけたりすることも気分が上がりました。

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受賞事例

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  • マンションいい話コンテスト2018年受賞作品はこちら
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