トップページ > 特集 > 集合住宅での日本人と外国人との共存・共栄 ~どのようにコミュニケーションをとればよいか~
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  • 2011年夏号

マンション居住者の〝高齢化〟を考える

●分譲マンションならではの管理上の難しさ

近年は外国人が分譲マンションの区分所有者になるという事例も増えてきていますが、実際には、区分所有者が賃貸に出している住戸に外国人が入居してくるというのが一般的でしょう。外国人が部屋を借りるという意味では、普通の賃貸住宅と同じなのですが、実は、分譲マンションならではの管理上の難しさがあります。

分譲マンションでは区分所有者の一人ひとりが家主という立場になるので、住戸ごとに仲介する不動産業者も異なりますし、どのような貸し方をするのかという考え方も区分所有者によって違ってくるからです。しっかりした人柄の入居者を選びたいと考える区分所有者もいれば、とにかく採算性を優先したいと考える区分所有者もいます。家主がひとりだけの賃貸マンションであれば、マンション全体として統一的な方針で入居者を選び、契約時に丁寧に生活ルールを説明することができますが、家主が複数存在する分譲マンションでは、これを徹底するのが難しい状況にあります。

そういう意味では、賃貸マンションよりも分譲マンションのほうが、外国人居住者への対応が難しいといえるかもしれません。

●困った時の生活ルールの伝え方

外国人居住によるトラブルを未然防止するためには、住戸を賃貸に出している区分所有者に対して、入居時に生活ルールの伝達を徹底するよう要請することが一番重要です。また企業が外国人用の寮や社宅として住戸を借り上げている場合には、その企業の担当者に連絡を取り注意してもらうケースが多いです。それでもトラブルが発生してしまったらどうするのか。区分所有者や企業に対応を求めるのは当然ですが、現実には、管理組合として対応せざる得ない場面が起こりえます。

代表的なトラブルとしては、①ゴミ問題、②生活騒音、③友人との同居や転貸、が挙げられますが、ここでは、マンション管理組合が対応することが多い①と②について説明します。

●ゴミの捨て方・分別方法

ゴミ問題は、外国人から見れば「ゴミを出す曜日がわからない」「分別方法がわからない」から起きてしまうトラブルです。特にゴミの分別は、「可燃ゴミ」「不燃ゴミ」「プラスチック」「ビン・カン」「新聞紙」「ダンボール」など、地方自治体によって分別方法や種類、回収方法が異なるため非常に複雑です。ですから外国人に対して、きちんと情報を伝えてあげる必要があります。例えば、自治体や清掃事務所へ問い合わせ ると、外国語で作成したイラスト入りのゴミ分別のパンフレットが用意されていることが多いので、それを取り寄せて外国人に渡してあげたらいかがでしょうか。

また、外国人の入居者が多い団地の中には、外国人に集まってもらい、集会所で食材トレーやペットボトル、ビン・カンなど、ゴミの現物を使って、分別方法を実演しながら説明している事例があります。この方法は非常にわかりやすく、疑問があればその場で質問できるので好評です。さらに思わぬ副産物的効用が得られます。それは、このような機会を通して、お互いに知り合いになれるという効用です。 ゴミの仕分け方一覧