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  • 2015.01.05掲載

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取材レポート 機械式立体駐車場の安全対策

重大事故を防止するには管理組合の啓発活動が必須

現在新たに設けられている基準は、今後新しく設置される機種にしか適用されません。では、既存のマンションの機械式立体駐車場はどうすればいいのでしょうか。

前面に柵を設ける、人感センサーを取り付ける、非常停止ボタンを設置する、などはすべてお金がかかります。資金が潤沢な管理組合ならともかく、それでなくても機械式立体駐車場は「金食い虫」ともいわれているのに、安全対策のためにこれ以上お金がかかると知ったらかなりの反対意見が出るのも仕方のないことだと思います。

管理者となる管理組合としては頭の痛いところですが、まずは利用者に十分な注意喚起や安全利用の周知を徹底することが必要です。

マンション居住者で共通の認識を

立体駐車場作成の注意喚起ポスター 例えば、注意喚起のポスターを居住者から良く見える場所に貼り出したり、操作方法や警告が書かれたシールなどを操作パネル等のそばに貼っておいたり、チラシを全戸に配布したりすること。安全利用パンフレットなども含めて、メーカーやメンテナンス業者に聞いて取り寄せてみましょう。毎日のように目にすることで、大勢の人に自然と知識が身につく簡単な方法です。

また、メンテナンス業者などに頼んで、居住者を対象とした安全講習会のようなものを開くのはどうでしょう。防災訓練や何かのイベント等に合わせて行えば、参加率も上がりますし、居住者の負担も少なく済みます。

その際、なるべく多くの人に参加してもらってください。「自分は駐車場を利用していないから関係ない」ということはなく、駐車場の敷地もマンションの一部です。もしかするとその人のお子さんが駐車場で遊んでいるときに事故に遭ってしまうかもしれません。機械式立体駐車場の安全対策は、マンションの居住者全員で考えておきたい問題です。

まずは、機械式立体駐車場は使い方によっては死に至る事故を起こす危険なものだということを自覚すること。その上でそれをマンション全体の認識として共有すること。さらに余裕があれば、柵を設けるなどの具体的な対策を行うのがベストかもしれませんが、簡単に始められる対策から手をつけてみてはいかがでしょうか。


国土交通省「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」
http://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_gairo_tk_000038.html

消費者安全調査委員会「消費者安全法第23条第1項に基づく事故等原因調査報告書 機械式立体駐車場(二段・多段方式、エレベータ方式)で発生した事故」
http://www.caa.go.jp/csic/action/index5.html
最近は都心部でも大雪が降るため、雪の重みや凍結などが故障の原因となる 機械式立体駐車場の大雨・雪対策も大切です!

昨冬、都心部をたびたび襲った大雪。都市の雪に対するさまざまなもろさが浮き彫りになりました。交通機関が麻痺し、交通事故が多発した中で、機械式立体駐車場の対応に頭を痛めたマンション管理組合も多かったのではないでしょうか。
また、集中的に想定外の大雨が降る、いわゆるゲリラ豪雨も、特に地下に車を格納するタイプの機械式立体駐車場にとっては大敵といえます。

あるマンションでは、ゲリラ豪雨がきそうになったら管理員が予めすべての装置を一番上まで上げておくようにしていました。しかし、管理員のいない夜間に豪雨があった場合どうするかなどは、いまだ決まっていません。大雪が降った時も、雪かきをするくらいしか対応ができませんでした。

積雪時は、雪の重さや凍結によって機械が影響を受け、動かなくなったりひどいときはパレットが落下したりするなど、事故やトラブルの原因になります。
大雪や大雨がやってくると予報があったら、あらかじめ車を別の場所に一時退避させるなど、駐車場の形状や立地状況に応じて必要な対策をとるようにしましょう。