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  • 2017.01.04掲載

“高齢化”など変化する業務環境に対応
「品質向上」へ標準契約書改訂に注力

 新年おめでとうございます。まず、昨年4月に発生した熊本地震、10月の鳥取県中部地震において被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

◆『もう一つの老い』も浮上

 最近の社会経済や国際情勢の変化は目まぐるしいものがあります。昨年は、北朝鮮による長距離弾道ミサイルの発射、英国の国民投票によるEU離脱決議、米国大統領選挙に続き、12月には日ロ首脳会談もありました。一方で訪日外国人の数は過去最高を記録し、20年東京五輪・パラリンピックを控え、今後ますます観光立国として注目が集まるでしょう。

 マンションを取り巻く環境も日々刻々、変化のスピードを増しています。建物と居住者の『二つの老い』に加えて、昨今身につまされるのは我々の業務従事者の高齢化。特に現場における管理員や清掃員の高齢化と人材採用難の問題です。『もう一つの老い』であり、従来からの管理業のビジネスモデルが維持できなくなる懸念すらあります。

◆満足いく「標準管理規約」改正

 さて、昨年の我が業界の大きなトピックを挙げると、第一は3月のマンション標準管理規約の改正です。国土交通省検討会の立ち上げから4年余、ようやく一応の区切りがつきました。関係者のご尽力に改めて敬意を表します。改正規約条文では、議論の中心になっていた「コミュニティ条項」は削除されましたが、その上位となる「マンション管理の適正化に関する指針」で初めて「管理組合のコミュニティ形成は、積極的に取り組むことが望ましい」と位置づけられ、大変満足のいく結果となりました。

 今次改正ではこのほか、「外部専門家の活用」「議決権の価値割合」「理事の代理出席、理事の議決権の代理行使」などがありました。会員会社が適切な助言等ができるよう引き続き、強力にバックアップしてまいります。

 7月にはマンション標準管理委託契約書第14条も改正されました。これは優良なマンションストックの形成促進と中古市場の活性化につながる話で、管理会社による管理組合の情報ストックのあり方が重要になったことを意味します。当協会では従前から、仲介業者へ管理情報を提供する際のガイドラインを公表しておりますが、引き続き「適切な開示」について取り組みを進めます。

◆「民泊」問題と個人情報への対応

 分譲マンションにおける「民泊」に関する議論も活発化しました。管理組合から寄せられる相談は「管理規約で民泊を禁止する条文のひな形はないか」というものが大半でしたが、リゾートや観光地エリアなどでは民泊開放に期待がかかることも確かです。そこで国交大臣に「民泊の可否にかかる規約条文の作成」について要望書を提出し、11月には国家戦略特区での自治体条例に基づく「民泊」について、管理規約条文案を示してもらいました。現在検討されている「民泊新法」でも居住者に混乱が生じないよう対応します。

 個人情報保護法施行規則が本年中に施行されます。これによって管理組合も事業者と見なされ、組合員名簿など個人情報の厳格な取り扱いが必要となります。当協会では昨年、内閣府の意見募集に「管理組合への特段の措置」を求める意見を2回提出しました。引き続き、管理組合に適切な情報発信を進めてまいります。