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  • 2013.04.25掲載/最終更新

マンション災害時の生活継続を可能に 支援組織「MALCA」発足 設立フォーラムに200人

大地震に備えるMLCP(=Mansion Life Continuity Plan、マンション生活継続計画)の普及を目的として、一般社団法人マンションライフ継続支援協会(Mansion Life Continuity Association、通称MALCA)がこのほど設立された。代表には三橋博巳・日本不動産学会会長が就任。3月31日に第1回フォーラムを開催し、中島正弘・復興庁次官や山根弘美・マンション管理業協会理事長、渋谷和久・内閣府大臣官房審議官らが講演したほか、有識者らによるパネルディスカッションが行われた。当日は管理会社の社員やマンション居住者、行政関係者など約200人が来場した。
 
造りが堅固であることから、大地震時に比較的被害を受けにくいとされるマンションだが、それは裏返すと「?優先的に放っておかれる?」(飯田太郎・MLCP検討会事務局長)ことも意味する。救援活動が、被害の甚大な地域に集中すると予想されるためだ。そこでMALCAでは、建物の損傷が少ない場合に外部からの支援がなくても自宅で生活を続けられるよう、管理組合ごとにMLCPを作成する重要性を強調。管理会社や行政に対しても、作成を支援する形での協力を呼び掛ける。なお、MLCPは同協会による造語で、企業などが作成する『事業継続計画(BCP)』から名付けられた。
 
《管理会社の?使命?に防災》
 
フォーラムに登壇したマンション管理業協会の山根理事長は、MALCAの設立に個人的に関わってきたことを説明。管理業者として「使命の1つに『防災』を掲げなければならない」と述べ、MALCAに対して「体験や各方面の知識・ノウハウを集約し、それらを体系的に発信してもらいたい」と期待を表明した。
 
また、パネルディスカッションには吉野美幸・伊藤忠アーバンコミュニティ執行役員が管理業者代表として参加した。東日本大震災時は各社が「やれることに全力投球した」と振り返ったうえで、震災時に居住者の『個別的な要望』にすべて対応することは実質的に不可能であること、また、そもそも防災が管理業者の業務に位置付けられていないことに対する認識不足が原因で、居住者と管理業者との間で齟齬が生じやすい点を指摘。両者の役割分担を明確にしておく必要性を語った。
 
フォーラムではこのほか、管理組合や管理業者、行政などに対して、協会発足の趣旨をまとめた提言を発表した。今後の具体的な活動方針は、6月に開催する第1回総会で決定する予定。国土交通省が今年度創設する、マンション管理の各支援団体に対して最大1000万円を助成する制度『マンション管理適正化・再生推進事業』にも、応募する考えだという。

[住宅新報 2013年4月9日号]