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  • 2013.04.01掲載/2013.03.27最終更新

免震建築、連結部で指針 JSSI 東日本大震災受け策定案

免震構造の普及促進活動などを行う日本免震構造協会(JSSI)は2月28日、免震建築物と地盤面や近接する建物との連結部などに設置されたエキスパンションジョイントの設計などに関するガイドライン案を公表した。東日本大震災で、免震建築物本体は無事だったものの、約3割のエキスパンションジョイントに損傷が見られたことから検討を進めているもの。地震時の大きな損傷は、避難の妨げになる可能性もあるなどとして、設計上の留意点などを盛り込む。今後、調整を続け、4月を目途に完成版を公表する。
 
免震構造は、1階部分と基礎部分の間などに積層ゴムやダンパーなどからなる免震装置を設置して、建物に伝わる地震力を低減する仕組み。免震建築物は地震時、地盤面に対して相対的に大きく動くため、免震建築物と地盤などの間には隙間(クリアランス)が設けられている。免震エキスパンションジョイントは、こうした部分の橋渡しなどを行うもの。地震時には可動する。
 
東日本大震災での損傷の背景としては、製品の機能や設置状況の問題のほか、可動エリアに障害物が設置されていたといった維持管理の問題が報告されている。
 
こうしたことを踏まえ、策定するガイドラインの案では、設計上や製品製作上、施工上、維持管理上など、それぞれの留意点について言及している。
 
設計上の留意点は、「人や車の通行部以外に設置された可動範囲内には、人や車が入れないよう柵やフェンスなどで隔てる工夫が必要」「人の通行部は、可動部の存在が識別できるようにする工夫が、危険防止につながる」などと提示。また、製品製作上の留意点としては、「常時の荷重状態に対する耐荷重性能だけでなく、可動時の荷重状態に対する安全性に留意して部材、厚み、形状などを選定する」など、施工上の留意点としては、「可動範囲内に、消火器などの工作物を後施工しない」「動きを阻害するような不適切なシールを施さない」など、維持管理上の留意点では、「建物管理者は、定期的に点検する必要がある」などと示している。
 
免震エキスパンションジョイント:免震建築物と地盤面との連結部に設け、橋渡しするもの。免震建築物は震災時、地盤に対して相対的に大きく動くため、その動きを許容するエキスパンションジョイントが必要になる。

 [住宅新報 2013年3月5日号]