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  • 2022.07.01掲載

団地って何?

横浜市立大学国際教養学部教授 齊藤広子

●団地型マンションの建替えはどうするの?

 では、団地型マンションはマンション全体で建替えることができないのでしょうか。
 団地型マンションでは、棟別の建替え、あるいは団地全体を一括して建替えることができます。ただし、団地全体を一括して建替える決議をするためには、「建替えや復興の意思決定や費用負担はあくまで棟単位で行う」という原則に従ってしまうとこれに反することになってしまうことから、棟別に管理をしている場合には、将来の建替えに備えて、各棟の土地を全棟で共有する1つの土地とするとともに、団地管理組合の規約で団地内の建物を管理の対象とすることが必要です (区分所有法第68条)。よって、図「団地型マンションの事例」に示す<ケース2の②>の場合でも、規約で規定し、通常の管理も団地管理組合で対応する場合は、一括での建替えが可能になります。
 逆に、棟別の建替えができない場合があります。敷地が1つになっている<ケース1>や<ケース2>の場合です。日常的にI(全体型)の体制を取る団地管理組合で、棟の集会、棟の修繕の費用が用意されていない場合です。

●マンションの敷地を分割できないの?

 大きなマンションで、戸数も多く、何十棟もある場合、全棟で建替えをするのではなく、一部は建替え、一部はリノベーションにしたいなということもあるでしょう。その場合に、敷地が1つであると、分けて建替えやリノベーションできないのでしょうか。全棟で共有している土地を分割するには、民法に従い、全員の同意が必要になります。これは、現実にはかなりハードルが高いものとなります。そこで、2020年6月にマンション建替え円滑化法が改正され、一部の棟が耐震性不足や外壁等の剥落により危害が生ずるおそれのあるマンションなどの場合、敷地の分割が4/5以上の多数の合意でできるようになりました(詳しくは、国土交通省:「団地型マンション再生のための敷地分割ガイドライン」(2021年(令和3年)12月)をご参照ください)。
 これでマンションの再生の自由度が高まったことになります。つまり、みんなが一緒に建替えることも、敷地を分けて一部を建替えることも、一部を売却することも可能ということです。

●こんなことにも違いがあります

 本年4月に開始となった国の「管理計画認定制度」と、一般社団法人マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」では、団地型のマンションの各々の制度への申請にあたって、区分所有法第68条に規定する規約(68条規約:団地全体を一体として、団地管理組合の管理者等が管理を行う旨の規約)の「あり」「なし」でその方法が異なります。
 両制度とも、68条規約「あり」の場合は、団地管理組合の管理者等が管理を行っていることから、申請主体は団地管理組合の管理者等となります。また、68条規約「なし」の場合は、団地共用部分及び各棟の共用部分のそれぞれについて、各管理組合の管理者等が管理を行っていることから、申請主体は各棟の管理組合の管理者等および団地管理組合の管理者等となります。
(詳しくは、国土交通省:「マンションの管理の適正化の推進に関する法律第5条の3に基づくマンションの管理計画認定に関するガイドライン」(2021年(令和3年)11月)をご参照ください。)

●マンション全体がみんなの価値

 マンションの敷地の所有の形態に関わらず、マンション全体をみんなの価値として捉えることが団地型マンションでは必要です。なぜなら、マンション全体の環境がその価値を創っているからです。しかし、所有の形態を正しく理解していないと、いざという時に区分所有法に従うことで矛盾が生じ、管理や再生が円滑にいかないことがあります。例えば、地震の被害は棟ごとに大きく違ってくる場合があり、問題が起こってからでは、得をする側と損をする側が生まれ、なかなか合意が得られないということもあります。平常時に所有の形態を確認しておくことはもとより、それに基づいた合理的な管理体制にしておくことが必要です。より快適で安心して暮らせるマンションにするためにも、団地関係(管理規約、管理区分、会計区分等)について確認し、把握しておくことが大切です。




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齊藤 広子 Profile
齊藤 広子
横浜市立大学国際教養学部不動産マネジメント論担当教授。工学博士、学術博士、不動産学博士。

専門は住まい学、住環境管理学、 居住のための不動産学。研究テーマは、マンションの管理、住宅地の住環境マネジメント。日本マンション学会研究奨励賞、都市住宅学会論文賞、日本不動産学会業績賞、日本不動産学会著作賞、不動産協会優秀著作奨励賞、日本建築学会賞、都市景観大賞優秀賞、グッドデザイン賞等受賞。
著書に『新・マンション管理の実務と法律』(共著・日本加除出版)、『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価値が上がる住宅地』(学芸出版社)、『初めて学ぶ不動産学』(市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出版社)など多数。