トップページ > 連載 > マンガで事例研究 > 築年数が経ったマンションに若い子育て世代を
  • 連載
  • マンガで事例研究
  • 2017.10.02掲載

築年数が経ったマンションに若い子育て世代を

横浜市立大学国際総合科学部教授 齊藤広子

●高齢化が進行すると……

 高齢化が進行した場合に、運営管理面で一番よく耳にするのが理事のなり手不足の問題です。
それだけではなく、築年数が経つと人と建物が高齢化し、組織も高齢化しやすくなっています。
実はこれが最も怖い高齢化です。もちろん、高齢者に対する様々な対応を考えることは重要です。

その一方で、積極的に若い人に居住してもらう作戦に出るのはいかがでしょうか。マンションの子育て世代呼び込み対策です。
理事のなり手不足を解消することもありますが、若い人にとって魅力のあるマンションにするためです。

●マンションの子育て世代呼び込み対策 -3つのマンションの事例-

 子育て世代呼び込み対策をしているマンションに行ってみましょう。
 東京都内の築約40年、約2000戸のマンションです。ここでは、約1割の居住者が「このマンションで育った」2代目だといいます。その中のおひとりに話をうかがいました。結婚し、奥様とお子様2人と戻ってきたそうです。自分が生まれ育った環境が気に入っている、親が近くにいる、友達も近くにいる、そして自分たちが育った環境やイベントなどもある──そんな場所で子供を育てられることに安心と喜びを感じているとのことでした。

 若い世代が帰ってくるために何か工夫をしているのかと理事長にお尋ねしたところ、自分たちにとって住みよい環境を作ってきていることが、結果、若い世代を呼んでいるというのです。それだけではなく、やはり努力をされています。入居当初からマンション内にあるプールをしっかりと運営し、イベントもたくさん行っています。また、築年数が経過するほど緑が育ち、経年美化を感じました。緑の手入れはボランティアの皆様の日常の努力の賜物です。