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  • 2017.04.03掲載

マンションの管理情報

横浜市立大学国際総合科学部教授 齊藤広子

●管理組合の総会

 管理組合の総会とは何でしょうか。マンションでは、大事なことは区分所有者全員が集まる集会で方針を決めます。その集会を総会と呼んでいます。総会で決まったことは、規約に書いてあることと同じ効力を持ちます。そのため、総会には区分所有者は全員参加する権利を持ち、議決権を持ち、直接その決定にかかわります。
 最低年1回は「総会」を開き、事業報告、会計報告をはじめ、次年度の事業計画・予算案を審議し、理事の交代などを決めます。臨時に集まる必要がある場合には、臨時総会を開きます。
 集会での決議には、普通決議事項と特別多数決議事項があり、それぞれ求められる決議要件は区分所有法や管理組合の管理規約で決められています。例えば国土交通省が公表しているマンション標準管理規約では次年度の事業計画・予算案等は普通決議事項で、マンション管理の大きな方針、特に方針変更に関わること、例えば共用部分の変更、敷地や附属施設の変更、規約の改正、管理組合法人にする等は、特別多数決議事項になります。普通決議事項は総会に出席した区分所有者(委任状や議決権行使書も含む)の議決権の過半数、特別多数決議事項は区分所有者総数(総会に出席していない者も含む)及び議決権総数の4分の3以上の賛成が必要になります(建替えについては、5分の4以上の賛成が必要になります)。なお、議決権割合は多くの場合、専有部分の床面積の割合に応じています。

●あるマンションの総会

 それでは、あるマンションの総会の様子を見てみましょう。
 入り口で、住戸番号の確認が行われています。議事が始まりました。開会の宣言があり、まず、定足数に足りていることが報告されました。理事長が挨拶をしています。次は、議長が選任され、理事長が議事を進行することになりました。書記と議事録署名者の指名が行われ、いよいよ議案の審議が始まります。
 第一号議案は、事業報告と収支決算です。「1年間このような活動をしてきました。お金はこのように使いました」との報告がありました。次に質疑に入ります。特に、誰も質問がないようです。「それでは、決議に入ります。ただ今の報告に対して、賛成の人は挙手をお願いします」とあり、賛成の人の住戸番号の確認が行われました。賛成者の数は委任状や議決権行使書と合算すると過半数を超えており、第一号議案は無事に可決されました。この議案は普通決議です。
 第二号議案は、特別多数決議となる規約の改正です。管理規約に定められた役員の規定を見直すようです。総会への出席者だけではなく区分所有者総数及び議決権総数の4分の3以上の賛成が必要です。だから、冒頭のように、必死になって委任状などを役員の方が1軒1軒回って集めておられたのですね。
 その後、新たな事業計画と収支予算、新しい役員の選出を普通決議で行い、役員の紹介とあいさつ、閉会の言葉がありました。

●区分所有者に理解と協力を

 無事、総会が終了したようですね。
 以前、相談にこられた管理組合では、設立総会で8時間にも及ぶ喧々諤々の議論があったようです。もちろん、前向きの議論はよいのですが、いきなり、総会といわれて議案書を渡されても、意味がわからないこともあると思います。そうなると、区分所有者は、関心も低くなり、協力をしにくくなってしまいます。また、不安になったり、不満をもってしまうかもしれません。
 そこで、私がかかわっている管理組合では、総会の前に、「管理の説明会」を開催しています。1年間に新たに入居された方々を対象に、管理組合の役割、総会、規約、理事と理事会の役割、管理費や修繕積立金、管理会社の仕事などを説明しています。もちろん、長年住んでいる人の参加もOKです。そして、総会の1週間前には、「総会議案書の見方の勉強会」なども行い、総会で審議する内容を、十分に理解をしてもらうようにしています。それは、議案書をただ配られてもなかなか正しく理解できないこと、数字や難しい言葉が並んでいて、わからないからという理由で総会への関心や参加意欲が低下することを防ぐためです。
 まずは、区分所有者の人が、自分のマンションの管理の状態を正しく理解し、主体的に参加できるように、管理のことが理解できる場や機会を作っていきましょう。区分所有者も自覚を持ち、積極的に参加し、自分の住むマンションをより快適にしていきましょう。総会は管理組合の最高意思決定機関ですので、もし総会に出席できない場合でも、委任状等を提出することは、区分所有者に求められる基本的なマナーです。


総会で新役員がご挨拶 設立総会のあとの懇親会



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齊藤 広子 Profile
齊藤 広子
横浜市立大学国際総合科学部まちづくりコース不動産マネジメント論担当教授。工学博士、学術博士、不動産学博士。
(一社)マンション管理業協会「マンション2025ビジョン懇話会」座長

専門は住まい学、住環境管理学、 居住のための不動産学。研究テーマは、マンションの管理、住宅地の住環境マネジメント。日本マンション学会研究奨励賞、都市住宅学会論文賞、日本不動産学会業績賞、日本不動産学会著作賞、不動産協会優秀著作奨励賞、日本建築学会賞等受賞。
著書に『新・マンション管理の実務と法律』(共著・日本加除出版)、『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価値が上がる住宅地』(学芸出版社)、『住まいと建築のための不動産学入門』(市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出版社)など多数。