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  • 2017.01.04掲載

外国人の居住

横浜市立大学国際総合科学部教授 齊藤広子

●ロビー(エントランスホール)でコーヒー?

 おいしいコーヒー飲みたいな。でも、わざわざでかけるのも面倒だし……。部屋で飲んでもひとりだしな……。
え?! 「ロビーでコーヒーが飲めるようになります」ってチラシが入っていたけれど、どういうことだろう。1階で喫茶店でも始めたのかな? いやいや、それではロビーではないし……。何もなく、広いだけの寒々としたロビーでコーヒー!? なんかイメージわかないな……。
でも、楽しみだ。行ってみよう!

●コミュニティカフェ

 最近、いろいろな形のコミュニティのたまり場ができています。昔は、ちょっと縁側に座って近所の人とお茶を飲むといったことがありましたが、マンション住まいでは、なかなか難しいのが実情です。身近なところで気軽に行けて、人々が集まれること、そこでの人と人のつながりが求められています。高齢者の孤独死、若者のひきこもり、子育て世代の悩みなども地域でつながっていれば、解決できること、予防できることがいっぱいあります。
 そこに注目したのが、コミュニティカフェです。お茶を飲むことも大事ですが、そこでは地域の人々のふれあいを大事にしています。さらに、情報の共有や、情報発信の場にもなっています。

●コミュニティカフェのいろいろ

 マンションでは様々な形でコミュニティカフェが運営されています。
 Aマンション。ロビーにはソファがあっても使われていませんでした。ロビーはマンションの顔で、本来は来客時には応接間にもなるところです。まさに、もったいない状態でした。そこで、管理組合で使い方を検討し、サロン(カフェ)にすることにしました。そのための家具を購入し、本や新聞を読めるようにしました。おいてある新聞は、それぞれの新聞社から毎日1部無料で提供されています。コーヒーメーカーを無料で借り、コーヒー1杯80円としました。多様な世代が利用でき、多世代交流の場にもなれます(築約10年、約400戸、千葉市)。
 近隣に対しても開かれているサロンがあります。最近、おうかがいした4つのマンションを見ていきましょう。
 1つめは多世代交流拠点を目指したサロンです。築45年の約500戸のBマンションです。高齢者率40%になってきました。皆さんの不満の一つが、集会所が使いにくいこと。そこで、市から助成をもらい、集会所を増設する形で、サロンをオープンしました。このサロンは集会所を避難所にもできるように、キッチンを備え、多目的トイレに改修しました。メニューは、コーヒー1杯100円などです。サロンの中では手作りの作品の販売も始まりました。地域ケアプラザによる出前相談会も月に1回開かれています。サロンの建築整備費は市の助成費で、管理組合は設計費や耐震診断費などを負担しました。サロンは自治会で、集会所は管理組合と自治会で運営しています。