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  • 2014.04.01掲載

窓を利用し、エコライフの実践

明海大学不動産学部教授 齊藤広子

春が来た、春が来た。ようやく春だ。

マンションの中で花見ができるなんて最高だ。それにしても今年の冬は寒かったな。マンションは温かいといわれるけれど、本当に冷えた。おかげで電気代もびっくりするほど高かった。もっと断熱効果をあげる方法はないのかな。

それに夏だ。昨年の夏は暑くて暑くて……。緑のカーテンもしてみたいけれど、我が家は3階。どうすればいいんだ?

◆窓の機能

窓は私たちの生活に大きな影響を与えています。窓から緑いっぱいの外が見えること、そこから光が入り、空気を入れ替え、小鳥のさえずりも聞こえてきます。素敵ですね。

窓は私たちの暮らしにはなくてはならないものです。だから、部屋の広さに対して1/7以上の窓等の開口部をとってくださいと建築に関する法律で決まっています。

そして、南向きの部屋と、北向きの部屋では大きく温度が違う時があります。それは、南向きは1年中の日が照らす時間は長いのですが、日射量は暑い夏には相対的に少なく、寒い冬に相対的に多くなっています。だから、南に窓のある部屋では冬は暖かく、夏は比較的暑くなりすぎないのです。

◆窓の変更と管理組合の対応

窓は外気に面しているため、熱が入ったり出たりする場にもなります。そこで、光を取り入れながら、熱を逃がさない方法として、二重窓、複層ガラスを導入する例も出てきています。

マンションで二重窓や複層ガラスの変更を自由にできるのでしょうか。「マンションでは窓は一切変更できない」という声をときどき聞きます。たしかに窓枠や窓ガラスは共用部分で、管理組合の共同管理の範囲です。だから、各自が勝手に自由には変更はできません。ではどうすれば二重窓等にできるのでしょうか。

○パターン1
既存の窓の内側に、窓をもう一つ新設するやり方です。既存の窓は共用部分ですが、その内側は専有部分ですので、基本的に、自己の負担で施工が可能です。気を付けたいことは、この場合、予め管理組合として、使用細則等で専有部分の工事に関する一定のルールを決めておくことが重要です。

専有部分のリフォームの使用細則に明記する形で対応する方法もあります。どのような方法の場合に理事の承認がいるのかを明記しておきましょう。

○パターン2
全部の窓の変更を大規模修繕工事と一緒に管理組合が行う場合です。長期修繕計画に位置付けたりして、計画的に進める必要があります。住民への説明会を行い、総会で決議をとります。工事の仕方にもよりますが、共用部分の変更にあたる場合は4分の3以上の賛成が必要です。

○パターン3
管理組合が希望者を募り、希望者の費用負担で、協同で実施することです。協同で発注をすることで各戸の費用の軽減や業者の選定の手間や教育等の削減のメリットも生まれます。

どのような方法でも住民説明会の実施や広報活動を通じて住民の理解をうながすことが必要です。

住み手がより快適に暮らせるように自らで手をかけやすくすることで、マンションへの愛着も高まり、だんだんよくなっていくのです。ですから、管理組合は方針を決め、それに対応したルールを決めておくこと、それを住民に伝えることが大切になります。