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  • 2010年春号

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昔のように“近所顔なじみ”の時代は過都心は見知らぬ人が共生する住宅街へと変わった。そんな時代だからこそ人と人とのつながりを大事にしてマンションの住民を見守る人がいる。デイアプレイス三鷹に住む阪本寿明さんが、その人だ。

◆夢のマンション暮らしに起こった必然的運命!?

阪本さんが暮らすデイアプレイス三鷹は、平成時年に完成した全100 戸の大型マンション。老後は奥さんと2 人で悠々自適な暮らしをと考え、マンション購入を踏み出した。しかし、そんな阪本さんにとんでもない大役が待っていた。

「私が購入した部屋は、自動的に初年度の管理組合の理事長になることが決まっていたんです。庭付きで妻も喜んでいたんですが、理事をお願いしますといわれて、そりゃ、最初は驚きました。」

当時を思い出して、笑いながら話す阪本さんだが、責任感ある人柄が理事長の任務を全うさせた。

「私がここに住む前から三鷹市は、安全安心・市民協働パトロールを実施していました(平成日年)。共同して防犯パトロールをやっていきましょう、安全な街づくりをしましょうと三鷹市長が熱心に訴えかけていたので私も賛同しました。この連雀地区が都の地域防犯モデル事業地区に指定され、防犯活動が活発してきたのはちょうどその頃です。ここは若葉町会に属するのですが、自治会のどの方も活動に熱心で、エリア内にあるU棟の大型マンションのうち8 棟が町会に参加して、連携しているんです。」

当初は1 年で終わるはずだった理事長役だったが、周囲に頼まれ、阪本さんは相談役となって自治会とマンションを結ぶパイプ役となって活動することとなった。面倒なことを避ける人が多いこの世の中、阪本さんにその理由を伺うと、熱いまなざしでこう答えた。

「子供の見守りがきっかけです。町内は小さなお子さんが増える一方で、このマンションにも70人ほどの小学生がいます。子供たちは信号のない横断歩道を渡って通学しているので、そこで見守りをしようということになってー―。 都心生活になると、昔のように顔見知りというのはないですよね。つくづく子供がかわいそうだと思います。顔と名前は一致しませんが、子どもたちの顔は覚えましたよ。母親からはク安心して子どもを家から送り出せます。と言われて、そのときはうれしかったですね。」若葉町会の活動は地域の人々と連携し、形になった。そして今、阪本さんはマンション内のコミュニティをより活発化せたいという希望がある。

「マンションの防犯パトロールというのは、住民のコミュニケーションが成立していれば、マンションの目となります。マンションに住んでいれば、無関心な人もいるわけですよ。そういった人たちにいくら言っても本人に気持ちが芽生えない限り厳しいですよね。私たちのような年金暮らしの立場の人聞が、こういった活動に自ら入って社会に恩返しをする、それぐらいの気持ちでやっています。気持ちが伝われば、協力してくれる人が出てくる、そんな気がします。今は、ここでも七夕やクリスマスの飾りつけなど子供たちが喜ぶ催しものを行って住民同士が顔をあわせる場を提供していますが、いつかは、子供会的な活動をマンション独自で行いたいです(笑)