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  • 2014.01.06掲載

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京都・祇園祭の歴史を受け継ぐまちの地域コミュニティ

今回取材に訪れたマンションの外観 京都の夏の風物詩、祇園祭。日本三大祭りの1つに数えられる古都を代表する祭りです。中でも13基の山鉾を出す伝統地域である「明倫学区」(元明倫小学校区・京都市中京区室町通)は、明倫自治連合会酒井英一理事長が中心となって“祇園祭を受け継ぐ風格のあるまち、商いと暮らしが響き合うまち、安全で安心なまち・明倫”の実現を目指したまちづくりを推進しています。

近年、同学区を通る南北の室町通り界隈を中心にマンションの建設が急増しました。平成17年の国勢調査では、学区全世帯の約80%がマンション住民で占められるという結果が出ています。

現在、同学区では地域・マンション間の新旧住人の共生・共存をどのように図るかが大きな課題となっています。

◆学区内27の町会をまとめる自治連合会

平成22年に明倫自治連合会内の1つの委員会として発足したのが『明倫マンションネットワーク(以下:MMN)』。明倫学区内で分譲されたおよそ50棟マンションの管理組合と連携して、マンション間の横のつながりをつくり、情報共有・発信を行うネットワークの構築と新旧地域住民との交流を図り、地域生活の質の向上を目指すことがその趣旨です。運営は、代表の田原陽子氏をはじめ、明倫学区内のマンション居住者数名が中心となって行っています。

田原陽子MMN代表 発足当時を知る田原陽子MMN代表は「マンション住民として地域との関わりを真剣に考えることができたのは明倫自治連合会のおかげ」と話します。

田原氏は、明倫学区にあるマンション管理組合の役員をしていました。
マンションに暮らし始めてからは地域の行事などにまったく参加していなかったのですが、10年が過ぎて大規模修繕の時期になり、修繕の準備を進めて行く中で、マンション居住者にとって地域との関わりが必要だと感じたそうです。

その後、田原氏自身が明倫自治連合会に参加するようになり、地域住民との信頼関係が生まれました。そして、MMNが発足することになって、マンション居住者にももっと積極的に参加してもらいたい、自らの知識・経験をマンションコミュニティに活かせれば…という思いで代表に就任されたそうです。
明倫学区は27の自治町会にわかれていて、それらの自治会をとりまとめた組織「明倫自治連合会」が存在し、活動していました。

近年、学区内では、マンション建設の増加にともなってマンション居住者が増えていますが、マンション居住者たちの地域活動への関心が低く、行事の参加も消極的なのが問題視されていました。

◆マンション居住者だけのイベントを実施して、積極的参加を促進

問題解消のきっかけは、連合会の呼びかけで行った明倫学区内マンションに居住している住民のための「一斉避難訓練」です。

同連合会は同学区で増加するマンション居住者との良好なコミュニティ形成の構築に向け、双方の連携が不可欠と認識し、平成21年、同学区のマンション管理組合に呼びかけ、マンション居住者を対象にした避難訓練を同学区内の京都芸術センターで実施、約150名が参加しました。

避難訓練が行われた京都芸術センター これを機にマンションに関連する勉強会・意見交換会を同連合会主催で実施、毎回多くのマンション居住者が参加するようになり、次第に居住者同士の交わりが生まれ、活発な意見交換も行われるようになりました。そして翌年、学区内のマンション管理組合の連携組織であるMMNが発足。今まで連合会が行っていた運営をMMNに移行し、現在に至ります。

◆マンション居住者間のコミュニティ運営を明倫自治会連合会からMMNに

MMNは当然ながら明倫自治連合会の一団体として地域活動に積極的に取り組んでいます。
例えば祇園祭という歴史的一大イベントに山鉾町のマンション住民も参加しています。また、自治連合会主催の避難訓練や区民運動会、ボウリング大会、盆踊りにも積極的に参加し、地域住民と一緒になって楽しんでいます。

その他、昔の明倫学区の歴史や商家の伝統などを学識者などに談話してもらう「明倫夜話の座」、明倫文化祭プロジェクトの参画(昨年はサッカー教室、きもの着付け教室)など、多様なイベントが開催されています。

明倫自治会連合会で行われているイベント
めいりんフェスタ1
お花見の会
めいりんフェスタ2
きっずぱぁく

◆良好な地域コミュニティ活動を継続していくことが、今後の課題

今後もこうした良好な活動を行っている地域コミュニティを承継していくには、これから新しく入居する人、まだ積極的に参加していない入居者に対して、1人でも多くの人がMMNに参加してもらえるような取り組みが必要であります。

そのためにMMNでは、今までの活動内容の報告やこれからの行事予定などについて、もっとマンション住民に知ってもらおうと、各マンションの掲示板に定期的に掲示し、広報活動を行っています。さらに、近隣にマンションができればMMN担当者と自治連合会理事が地域紹介パンフレットを持参し、MMNへの参加・協力を呼びかけています。

田原代表は「MMNとして地域に貢献するためには、今、何をすればよいのか、それぞれの立場で検証し、実行することが必要不可欠。その結果として、地域活性化につながればうれしいですね」と話しました。